いまの職場はJournal Club(のことをEBMレクチャと命名しているが)があって、論文の批判的吟味が定式化されているので研修医が堂々と発表していて凄いなあと思う。今回はクエン酸カリウムが尿路結石の再発予防に有効化かというトルコのRCTを取り上げていた(J Endourology 2002 16 149;日米ガイドラインどちらもこの論文に依拠しているそうだ)。Randomized open-label prospective studyのper protocol analysisで研究としての質は高くないが、「クエン酸=Ca結石のinhibitor」というのは自明だと思われているから、意外とちゃんとスタディしたものを探そうとするとここまで遡らなければならなかったりする(もう少し最近だとタイのRCTがある;Int Braz J Urol 2011 37 611、メタアナリシスはAnn Intern Med 2013 158 535)。NNTが3-4人だから、結構いい数字だ。
米国だと低クエン酸尿を確認して処方することもできるが、日本では尿クエン酸濃度を提出するのも一苦労(24時間蓄尿はできなかったような…不確かな記憶だが)だし保険で切られるという話だ。クエン酸カリウム(Citra-K®)の代わりにウラリット®があるが、これは名前の通り(urate + lytics)尿酸結石を主に考えられた薬なので保険適応は①高尿酸血症時の酸性尿と②アシドーシス(アバウトすぎるだろ)だ。ただ「酸性尿」と尿pHに着目している点はお洒落で、尿定性で毎回測られているのに無視されがちな尿pHがこれを機会にうちの職場で日の目を見ればいいとおもう。ただCitra-Kと違い、ウラリットは高K血症を怖がってクエン酸Naとクエン酸Kが混ぜてある(のでNa負荷になり、その面では理論上結石予防にマイナスだ)。味は酸っぱいらしい。