2017年12月14日木曜日

腎エコーは基本的なツール。

今回は、腎臓超音波に関して少し復習したいなと考える。

超音波検査はどの臓器でも現在注目されており、関節、肺、筋肉超音波検査など多種多様のものがあり、それの習得はおそらく患者さんのマネージメントを考える上で非常に重要になると考える。

腎臓超音波に関しては、例えば
「昨日、腎移植後の患者さんの腎臓の超音波評価はどう?」

などと聞かれた時に、

「腎臓の大きさ大丈夫なんで大丈夫ですよ!!」
といったら、聞いた方はそんなこと聞いてないのにと思ってしまうであろう。

腎移植の患者さんのエコー評価には血流の評価もある程度できる必要がある。

まずは、腎臓の基本的な構造の復習である。

ここで、血管の走行を知ることは腎病理を見る上でも非常に大事になる。

腎臓超音波のチェックポイント
1:腎臓の大きさ:腫大、正常、萎縮
2:皮質・髄質エコーレベル:高・等・低
3:皮質菲薄化:無・有
4:表面:整・不整
5:皮髄境界:明瞭・不明瞭
6:腎盂拡張:無・有
7:石灰化:無・有
8:腫瘤:無・有
9:腫瘤内血流:無・有
10:腎内血流動態の確認:区域・葉間・小葉間
11:腎動静脈異常:無・有
になる。

この中で基礎的なものの復習をする。

1:腎の大きさ:健常人:長径10〜12cm、短径4〜5cm程度で右腎のがやや大きい。12cm以上を腫大、9cm以下を萎縮としている。
腫大性病変:アミロードーシス、多発性嚢胞腎、糖尿病性腎症初期、急性腎不全、腎静脈血栓(急性期)など。
萎縮性病変:先天性腎低形成、慢性腎不全、腎静脈血栓など。

*以下は正常物であるので注意!
腎髄質間の皮質:ペルタン柱といい、これを腫瘤に間違えることがあるので注意!
ひとこぶラクダのこぶ(dromedary hump):左腎中央部の輪郭が外に突出して見えるもの。

:腎臓は腎実質と腎洞からなり、腎実質は皮質と髄質に分かれる。
健常人:腎皮質は肝臓よりもわずかに低エコー。また、腎髄質は皮質よりもエコーレベルは低い。
皮質のエコーレベルが上がる場合:慢性腎不全、腎アミロイドーシス、急性腎不全で認める。

8:腫瘤性病変:腎洞(CEC: central echo complex)にあれば腎盂の癌を疑う。実質にあれば、無エコーであれば腎嚢胞、高エコーであれば血管筋脂肪腫(実際は脂肪と平滑筋の成分の割合で異なる、平滑筋が多い場合には低エコーになる)、その他は腎細胞癌を疑う。

9:腎内血流動態
これを見る上で、まずは多いのはRAS(renal artery stenosis:腎動脈狭窄症)を疑って行う場合が多い。原因としては動脈硬化性(ARAS:atherosclerotic renal artery stenosis)、繊維筋性異型性(FMD:fibromuscular dysplasia)、大動脈炎症候群、解離性大動脈瘤などがある。

本幹の血流評価に関しては、PSV(収縮期最大血流速度)、RAR(renal to aortic ratio:腎動脈PSV/腹部大動脈PSV)を用いる。
ちなみにPSVは最高血流速度なので、ドップラーエコー検査の一番高い山になる。


下記に表を記載するが、狭いところを通ればPSVは上がる。また、RARが高いほど腎動脈の狭窄を示唆する。



では、腎内の血流評価に関しては区域動脈と葉間動脈の評価になるが、キーワードはAT(acceleration time)とAc(Acceleration:Δ流速/AT)である。
下図参照。
国立病院機構函館病院 小室先生資料より
また、腎の末梢血管抵抗の評価としてRI(resistance index)が用いられる。
国立病院機構函館病院 小室先生資料より
 RIは腎機能の増悪とともに高値になる。理由としてはEDVが低下するためである。
腎動脈狭窄の時にはATの延長が生じ、収縮期血流も低下する。
移植腎ではこれにPI(pulsatility index)を用いることが重要である。
PIも末梢血管抵抗を評価する指標としてRIと同じく、情報量が多く重要である。
PIの上昇などは拒絶を含めた良からぬことを疑うきっかけになる。

腎実質の障害を見る→RIを用いてRI>0.8であれば腎実質障害が高度なことを示唆する。
腎動脈狭窄を見る→PSVを用いてPSVが180cm/secで60%以上の狭窄を疑う。

これで、自信を持って聞かれた時に答えられるようになっただろうか?
「腎エコー当てた?」と聞かれて
「今回、腎萎縮もあって腎血流でもRIも低下していて慢性経過の腎不全を一番には考えます。その際に、ATの上昇もなくPVSも正常でしたので狭窄は可能性は低いと考えます。」
などと答えたら、みんなきっとぎょぎょっとするだろう。

そんな助けになれば嬉しい。