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2020/02/18

ナトリウム異常症(低ナトリウム血症、高ナトリウム血症)の時の計算式、ADHの重要性。

みなさんの興味のあるナトリウム異常症(低ナトリウム血症、高ナトリウム血症)

今回は、AJKDのcore curriculum seriesのを紹介したいと思う。
このseriesは、無料で提供されており非常に内容もまとまっている。また、Essential readingという読んでおくべき論文も提示してあり、個人的には大好きなSeriesである。

今回ナトリウム異常症に関しての論文が出ていたので少しかいつまんで。

個人的には、まずはナトリウム異常症に必要な公式から。
下記が主なものになる。

■Plasma osmolality(血漿浸透圧), mOsm/kg H2O:
  =(2 × [Na+] (mEq/L)) + BUN (mg/dL)/2.8 + glucose (mg/dL)/18

■Plasma tonicity(血漿張度), mOsm/kg H2O: 下記のどちらでも
   =Measured plasma osmolality (mOsm/kg H2O) − BUN (mg/dL)/2.8
   =(2 × [Na+] (mEq/L)) + glucose (mg/dL)/18

■Edelman formula, simplified:
     [Na+] = (eNa+ + eK+)/TBW(体液量)*
                                  *TBW=0.6×体重

■Urine to serum electrolyte ratio: Ratio>1では、飲水制限でも悪化し、生食投与でも
                               悪化することを示唆
     =(UNa + UK)/[Na+]


■Infusion rate, hypertonic saline solution: 1 mL/kg/h増加させるためには
    = [Na+] 1 mEq/L/h

■Infusion rate, D5W, to relower [Na+]:高Na血症のときに低下させるには0.5mEq/hr
                        ( 12mEq/day )で低下させる場合
    =2 mL/kg/h

■Free-water deficit:
    =TBW (L) × (([Na+]/140 mEq/L) − 1)
        *TBW=0.6×体重

■Electrolyte-free water input(EFWI)
     =Infusion volume × (1 - (INa + IK)/[Na+K])

■Electrolyte-free water clearance(EFWC):
     =Urine Volume × (1 − (UNa + UK)/[Na+K])

■Electrolyte-free water balance(EFWB):
     =EFWI ー EFWC

Front med 2018より引用
生体はEFWBをうまくコントロールしながらナトリウム異常を起こさせないように働いている。

やはり、ナトリウム異常症に重要なADHについて。
ADHの分泌刺激としては、ご存知のように一番は張度の変化である。
下の図の白丸(○)に記載してあるように、高張度になることによってADH分泌が生じる。
次の刺激が血管内循環血液量の減少である。
これは下の、黒丸(●)に記載してあるように血管内循環血液量の減少が刺激になる。


ちなみに、低ナトリウム血症でADHが出ている場合は、低ナトリウム血症自体多くは低張度であり、ADH刺激としては循環血液量減少が関与しているか不適切にADHが分泌している場合(SIADH)であるとわかる。

低ナトリウム血症の際にADHがでているかを判断する材料としては、Uosmになる。
1:Uosmが上昇している場合にはAVPが何らかの関連をしているんではないか?と考えることが重要である。
2:その後に、UNaを測定して循環血液量がどうかを判断する。UNa>30mEq/Lであれば、尿中にいらないNaを出している状態(利尿剤などは使用していないことが前提であるが。)なので、循環血液量減少はないと判断することができる。


なんにせよ、ナトリウム異常症はADHの概念を掴むことが非常に重要になる。


2018/12/15

高ナトリウム血症:Adipsic Hypernatremiaに関して

 以前に低ナトリウム血症の投稿でも話したように、低ナトリウム血症も高ナトリウム血症も基本的には水(自由水)の異常である。水に比べ相対的にNaが多くなれば高ナトリウム血症となる。

 高ナトリウム血症の原因は、下記のようなイラストにもあるように、過剰なNaの摂取(基本的には人は浸透圧変化→ADH作用→口渇し飲水で高ナトリウムを起こさないが、集中治療室などで飲水できない場合などでメイロンの投与などで起こりうる)浸透圧利尿を生じるマンニトールなどの使用、尿崩症、下痢などでの自由水の喪失、口渇があるのに全く自由水を摂取しないなどが原因としてあげられる。

(※ADH:Anti-Diuretic Hormone  抗利尿ホルモン)




 今回、Adipsic Hypernatremiaについて話そうと思う。

 この言葉は、あまり耳慣れない人も多いのではないだろうか?

 人体は口渇により水を飲み、高ナトリウム血症にならないように働く。その重要なキーマンが下垂体後葉から出るADHである。

 厳密には、ADHは口渇だけでなく尿Na量も変化させ排尿量も調整を行なっている。

 Adipsic Hypernatremiaは日本語では無飲性高ナトリウム血症と言われるように、口渇感がない高ナトリウム血症である。

 原因として、口渇が働かなくなる中枢性のものを鑑別にあげる必要がある。

 頭蓋咽頭腫、中枢性サルコイドーシス、胚細胞腫、Willis動脈輪の前交通動脈へのClippingや破裂などがあげられる。

 Adipsic HyponatremiaにはtypeがありTypeA〜Dまで分かれる。

 TypeAはもっとも多いTypeで、口渇を感じることとADHを分泌する上行性の閾値が高くなり、口渇が感じずADHも出ず高ナトリウム血症になるものである。

 しかし、原因自体は明確にわかってはいなく浸透圧受容器の障害では?などの議論がある。

 TypeBはADHが出てはいるが少量しか出ないものである。原因は浸透圧受容器の一部がなくなることによって起こると言われる。

 TypeCは全くADHが出ないことによる。原因はTypeBと異なり、全ての浸透圧受容器がなくなったためによる。

 TypeDは診断されることも少なく特に稀である。ADH分泌は保たれているが口渇だけないものである。

 もちろん治療はしっかりと水を飲ませることである。

 口渇がないが、しっかりと水を飲むことの重要性を認識させる。また、原因疾患となるようなものがないかはチェックすることは重要である。

 DDAVPも使用し良好といった報告もあるが、しっかりと自由水摂取させることは忘れてはならない。

 ※DDAVP:デスモプレシン

 この診断をつけるために大事なことは、高ナトリウム血症の患者さんが目の前にいた時に「喉は乾いてますか??」と聞くのが一番大事である!!

 「全然乾いてないですよ。」というようであれば、この疾患を想起してほしい。