2010/03/06

Milk-Alkali syndrome

 夜中に忙しいのは困らない。患者さんを診るのは好きだ。後輩を教えたり、看護師さんたちと昼間はあまりできない気さくな会話をするのも気晴らしになる。問診能力を鍛えることにもなる。このあいだはミルクアルカリ症候群を問診で診断したりもした。高カルシウム血症と急性腎不全が血液検査で判明し入院になった患者さんがいた。血液検査データを読むと、なぜか重炭酸イオン(HCO3-)が異様に高い。
 問診しながら患者さんとその家族にカルシウムの値が高いことを伝えると「牛乳の飲みすぎは関係あるでしょうか」と尋ねられた。「たいていそれだけでは(高く)なりません、baking sodaでも飲んでいれば別ですが」と答えると、なんと飲んでいた。それも大量に、TUMS(calcium carbonate)と一緒に、胃薬として。腰痛に対し鎮痛剤(NSAIDs)を摂りすぎて胃炎を起こしていたようだ。
 何十年も前によい薬がなかったころの胃炎の治療法に、クリーム・カルシウム・重曹を大量に摂るというのがあり、副作用として高カルシウム血症を起こした。これをミルクアルカリ症候群という。この治療法はもうとっくに廃れているので現在では滅多にみられない。骨粗鬆症予防でビタミンDとカルシウムを摂取することにより似たようなことが起こることはあるが。