2013/03/04

Cervical, jugular and carotid

 頚椎、頚動脈、頚静脈、いずれも「頚(くび)」と同じ漢字なのに英語ではcervical、jugular、carotidとどれも異なるのはなぜか?と考えたことがあるだろうか。私は回診中にふと疑問に思って、レジデントに「君のsmart phoneで調べてくれないか」とお願いしたことがある。

 Cervicalは「くびすじ、うなじ」を意味するラテン語cervixで、古代印欧語のkerwoに由来する。Kerは角を意味する接頭辞で、triceratops(三つ角の恐竜)、keratin(角質)も近縁語だ。考えてみれば頚は胴体から突き出している。

 Jugularはラテン語のeugulumに由来し、それは連結・結合を意味する古代印欧語の接頭辞yeug(英語のyoke、インドのyogaも同根という)にたどりつく。頚静脈は胴体と頭を連結しているからだろうか。

 最後にcarotidだが、これはなんと「眠りに落ちる」を意味するギリシャ語karounに由来する。昔からこの動脈をマッサージすると失神すると信じられていたからという(頚動脈洞の反射)。レジデントも、腎臓内科ローテーションでとんだトリビアに出くわしたものだ。