(上記論文より引用) |
ただ、これが選ばれた理由は「見逃されているファブリー病を診断しよう」という啓発にあるのだろう。ファブリー病はいままで考えられてきたよりも頻度が高いが(左室肥大男性患者の0.3%とも、NEJM 1995 333 288)、症状が非特異的なことも多い疾患からだ。
それだけでなく、ファブリー病は治療可能な疾患でもある。日本でも2004年にアガルシダーゼベータ、2006年にアガルシダーゼアルファが保険収載され、分子シャペロンも研究が進む。早期に酵素補充療法を開始すれば臓器障害を予防できるかもしれないし、未発症の親族患者を早期に同定すればなおさらだ。
だから、「蛋白尿や心肥大のある(どこにでもいそうな)症例でも、ファブリー病を忘れるなかれ!」という戒めをひろく腎臓内科以外にも周知しようということなのだろう。昨年の内科学会誌で『今月の症例』に取り上げられたのと、おなじ意図と思われる(日内会誌 2019 108 999、PDFはこちら)。
(前掲日内会誌論文より引用) |
本ブログでこれまで取り上げてこなかったが、啓発の一助となれば幸いである。
(NKFニューズレターの啓発広告より) |