移植の外来をしていて、海外で移植をしてその後のフォローをするときにしばしば内服薬で「プログラフ、プレドニン、マイフォーティック」の内服をしているという場面に遭遇する事が多い。
当初はマイフォーティックと聞いて何かのアニメなのか?と思ってしまった。このマイフォーティックに関してまとめたいと思う。
マイフォーテックはMycophenolate sodiumの事であり、まず特徴としてはMMFに比べて腸管での吸収を遅くしている特徴がある。
MMFを内服していて一定頻度で困るのは消化器症状(下痢)である。この消化器症状を少なくすることは患者の内服コンプライアンスを上げる上で重要である。
マイフォーティックは移植後の下痢の症状などをMMFに比べて優位に減らしたという報告がされている(Transplant Proc 2009)。しかし、現時点ではマイフォーティックとMMFで移植患者の有用性の違いに関しては報告されていない(Transplant Proc 2010)。
日本で患者さんがMMFで下痢をした場合に、下痢止めを処方したり、それでも症状が治まらなければ、MMFをAZA(イムラン)に変更したりする。しかし、AZAのがGraft survivalは長期で見た場合に悪い事は既知の事実であり、なるべくならMMFを飲ませ続けたい(短期は違いは少ないので短期間だけの変更ならばいいかもしれないが)。
そういう点でマイフォーテックはいい薬である。日本ではないため、患者さんにMMFに変更することを伝え、またそれにより下痢の出現があるかもしれない事を忘れずに伝える必要性がある。量に関しては180mgのマイフォーティックと250mgのMMFが同効果であるとされている。
もうすぐ東京オリンピックも近づいている。その時に海外で移植した患者さんが急に来院する可能性もあり、内服薬に関してもしっかりと理解する事は重要である。
クマさんがおしっこしないで冬眠できるのも、じん臓が一日に体液の何十倍もろ過してから不要なものを残して再吸収するのも、じん臓の替わりをしてくれる治療があるのも、すごいことです。でも一番のキセキは、こうして腎臓内科をつうじてみなさまとお会いできたこと。その感謝の気持ちをもって、日々の学びを共有できればと思います。投稿・追記など、Xアカウント(@Kiseki_jinzo)でもアナウンスしています。
2018/01/29
2017/03/31
移植での体格差や性別は移植腎に影響するか??(Donor-Recipient Weight and Sex Mismatch and the Risk of Graft Loss in Renal Transplantation)
今日は個人的には嬉しいことがあった日だ。本当に家族って大切だなと改めて実感した。
今日の話題は移植の話である。
我々の施設でも移植をやっており、移植のドナーが小さい母親で、レシピエント(受け取る側)が大きな成人男性であることに遭遇することが多い。
その際に、移植後に血清Cr値が通常の場合より高く出る場合が多い。その際に「体格差だから仕方ないね」という会話をすることが多い。
では、体格差がGraft Lossにどこまで起因するかを見たものが今回の研究である(CJASN 2017)。
腎移植後の早期・晩期合併症において免疫学的mismatchesは大きな要因であるが、非免疫学的なものも原因となりうる。その中で、移植腎のサイズ(移植腎の重さやBMIや体表面積などをsurrogateとして見ることが多い。)は一つの原因となりうることが報告されている。
また、性別の違いも同様に移植後のGraft障害の悪化ということも報告されている。
今回は米国で2000年1月1日から2013年12月31日まで見た研究である。
除外したものとしては、生体腎ドナー・患者が18歳未満・多臓器移植をされたもの・ドナーやレシピエントの体重記載のないものを除外している。
性別はFDMR(女性のドナーから男性のレシピエントへ)、FDED(女性のドナーから女性のレシピエント)、MDFR(男性のドナーから女性のレシピエント)、MDMR(男性のドナーから男性のレシピエント)に分けた。
体重をsurrogateとし、体重を>30kg,10-30kg,<10kgに分けた。
アウトカムをGraft Lossとして慢性の維持透析を導入するか再度移植を行った場合とした。
ドナーとレシピエントの年齢、身長、ドナーの死因、腎虚血時間、レシピエントの末期腎不全の原因、HLAミスマッチ数、既存抗体の割合(0-20%,20-80%,>80%)、併存疾患なども抽出した。
結論:
115124人のうちgraft lossが21261人の患者(18.5%)に見られた。
そのリスクとして高かったのが、多変量解析でレシピエントの体重がドナーよりも30kg以上大きかったものや性別が異なるものであった。
これは、死体腎移植のものであり、日本のデータにはそくしたものではないかもしれないが、日本でもこういう研究を行うのは面白いなと思った。
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