今日の話題は移植の話である。
我々の施設でも移植をやっており、移植のドナーが小さい母親で、レシピエント(受け取る側)が大きな成人男性であることに遭遇することが多い。
その際に、移植後に血清Cr値が通常の場合より高く出る場合が多い。その際に「体格差だから仕方ないね」という会話をすることが多い。
では、体格差がGraft Lossにどこまで起因するかを見たものが今回の研究である(CJASN 2017)。
腎移植後の早期・晩期合併症において免疫学的mismatchesは大きな要因であるが、非免疫学的なものも原因となりうる。その中で、移植腎のサイズ(移植腎の重さやBMIや体表面積などをsurrogateとして見ることが多い。)は一つの原因となりうることが報告されている。
また、性別の違いも同様に移植後のGraft障害の悪化ということも報告されている。
今回は米国で2000年1月1日から2013年12月31日まで見た研究である。
除外したものとしては、生体腎ドナー・患者が18歳未満・多臓器移植をされたもの・ドナーやレシピエントの体重記載のないものを除外している。
性別はFDMR(女性のドナーから男性のレシピエントへ)、FDED(女性のドナーから女性のレシピエント)、MDFR(男性のドナーから女性のレシピエント)、MDMR(男性のドナーから男性のレシピエント)に分けた。
体重をsurrogateとし、体重を>30kg,10-30kg,<10kgに分けた。
アウトカムをGraft Lossとして慢性の維持透析を導入するか再度移植を行った場合とした。
ドナーとレシピエントの年齢、身長、ドナーの死因、腎虚血時間、レシピエントの末期腎不全の原因、HLAミスマッチ数、既存抗体の割合(0-20%,20-80%,>80%)、併存疾患なども抽出した。
結論:
115124人のうちgraft lossが21261人の患者(18.5%)に見られた。
そのリスクとして高かったのが、多変量解析でレシピエントの体重がドナーよりも30kg以上大きかったものや性別が異なるものであった。
これは、死体腎移植のものであり、日本のデータにはそくしたものではないかもしれないが、日本でもこういう研究を行うのは面白いなと思った。