2017/03/13

塩分摂取について ② (about sodium intake)

塩分の摂取量については外せない論文は2014年のNEJMに立て続けにでた論文たちである。

・PURE trial
・NUTRICODE trial

は必須論文になると思う。

今回はPURE trialに関して触れる(N Engl J Med. 2014; 371: 601-11.  N Engl J Med. 2014; 371: 612-23)

今回のPURE trialの目的は
・ナトリウムの摂取量増加は血圧上昇と関連するが、この関連がナトリウム,カリウムの摂取量や地域で異なるのかは明らかでない。
また、心血管疾患合併からみた至適摂取量に関してはわかっていない部分が多い。
これをしっかりと突き詰めようとしたのが、今回の研究である。

今回の研究は大規模コホート研究において,下記を検討している。
1)  ナトリウムおよびカリウムの摂取量(推定24時間尿中排泄量で代替)の実態を地域,国の所得水準別に推定し,血圧との関連を検証。
2)  ナトリウムおよびカリウムの尿中排泄量と死亡,心血管イベント(CVD)の関連を検証。


今回24時間尿中排泄量で代用しているが、その際に用いられているのが、Kawasaki formulaである。

下記にkawasaki formulaを記した。今回、そのほかにTanakaの式、Nervassの式なども提示している。
ある研究では、日本のCKD患者さんではTanakaの式の方がkawasaki の式よりも正確であると言われている。

Kawasakiの式(HypertensRes. 2006;29(6):397-402.)
24-h 尿中Na (mEq/day)=16.3{(UNa/UCr)x estimated24h-UCr } ^0.5
男性:推定 24h-UCr(mg/day)=15.12x BW + 7.39 x height –12.63 x age –79.90
女性:推定 24h-UCr(mg/day)=8.58 x BW + 5.09 x height –4.72 x age –74.95

Tanakaの式(J Hum Hypertens. 2002;16(2):97-103.)
24-h 尿中Na  (mEq/day) = 21.98 x UNa/UCrx {-2.04 x age + 14.89 x weight (kg) + 16.14 x height (cm) -2244.45}^0.392

Nervassの式(Nephron Clin Prac t2014;12861-66)
推定 24h尿中Na (mmol) = –68.625 + (体重kg 1.824) + (EM UNa in m
mol/l 0.482)

話は、脱線したが詳細は本文を読んでいただけたらと思うが、
1)については、
方法:
18か国で102,216人の成人を対象とし、早朝空腹時の尿検体を用いて24時間のナトリウム排泄やカリウム排泄を計算。そのうえで電解質排泄と血圧との関係を見ている。
結果:
Na排泄量と血圧に有意な正の関係を認め、排泄量1g増加ごとに、収縮期血圧が2.11mmHg、拡張期血圧が0.78mmHg上昇(p<0.001)。

この相関関係はNaの摂取量が増えるほど顕著になり尿中Na排泄が5g/日以上では2.58mmHg収縮期血圧が上昇し、3-5g/日では1.74mmHg、3g未満では0.74mmHgの上昇であった(P<0.001)であった。
関係が顕著だったのは,高血圧例,高齢者であった。
K排泄量と収縮期血圧には有意な負の関係が認めた。1g増加ごとに0.75mmHg低下(p<0.01)。拡張期血圧の低下は0.06mmHgであった(p=0.33)。
収縮期血圧低下が大きかったのは高血圧例、高齢者であった(p<0.001)

結論:

24時間尿中排泄量から推定したNa摂取量と血圧は正の関係,K摂取量と収縮期血圧は負の関係であった。特にその関係が顕著だったのは高Na食摂取者,高血圧例,高齢者であった。

2)については、
方法:
17か国の101,945人から早朝空腹時の尿検体を採取し、24時間ナトリウム排泄とカリウム排泄を計算し、尿中ナトリウム及び尿中カリウム排泄と死亡率と心血管イベント(CVD)の複合アウトカムとの関係を調べた。

結果:
死亡率と心血管イベントの複合アウトカムの発生は3,317例(3.3%)で、死亡1976例(CVD死650例)、心筋梗塞857例、脳卒中872例、心不全261例であった。

Na排泄量4.00~5.99g/日にくらべ,高値群(≧7.00g/日)は死亡、主要なCVDのリスクが高かった。CVD死、脳卒中による死亡・入院のリスクも高かった。この関連は高血圧例で強く、 6.00~6.99g/日、≧7.00g/日でリスクが有意に上昇した。
また排泄量低値群でも,4.00~5.99g/日群にくらべ
死亡率と心血管イベントの複合アウトカムの発生、死亡、主要なCVDのリスクが上昇した。

K排泄量≧1.50g/日群は<1.50g/日群にくらべ
死亡率と心血管イベントの複合アウトカムの発生のリスクが低かった。

結論:

24時間尿中排泄量から推定したNa摂取量3~6g/日は<3g/日,≧6g/日より死亡や心血管リスクの低下と相関していた。
K排泄量≧1.50g/日は<1.50g/日より死亡や心血管リスクの低下と相関していた。

とても、大規模なコホート研究であり重要なものである。
患者さんに少し、塩分取りすぎちゃダメですよ、カリウムはとってくださいねという意味が理解できてきただろうか?