2017/03/25

低ナトリウム血症を再度考える パート1(Rethinking about hyponatremia from case record of MGH NEJM)

今回、NEJMでのMGHのケースで低ナトリウム血症の話題が出たので触れたいなと思った(NEJM 2017)。


低ナトリウム血症の鑑別を考える上でも考えさせられたし、知らない知識も多くとても楽しかった。


では、パート1は症例の紹介をする。
パート2以降に結果などを書こうと思う。


症例:27歳女性

主訴:嘔気・嘔吐、検査で低ナトリウム血症

現病歴:
入院1週間前:嘔気と非出血性の嘔吐あり。医療機関は受診しなかったが、数時間で改善。

入院2日前:夕方にシーフードを食べて同症状

入院1日前:食事後に反復性嘔吐で食べられず、しかし飲水接種は可能で大量の水を飲んでた。

入院日:
友人と会話し、観光にも参加。夕方前より軽度困惑症状出現、その後傾眠と歩行困難出現。そのため、A病院救急外来にに車で搬送

その時点ではBT:36.1、BP:94/64、HR:100、RR:16、SpO2:100(RA)、質問には答えられず手足を目的無く動かしたりしていた。血圧は再検しても73/54であり、生食投与を行っていた。

血液検査でNa104mmol/l、K:5.1mmol/l、Cl74mmol/l、CO2:19mmol/l、血糖:114、AG:11と分かった。また、AST/ALT:37/37 U/l、その他の腎機能などは問題なかった。

尿検査で妊娠反応・薬物反応は陰性。サリチル酸やアセトアミノフェン濃度:正常であり、集中治療管理のため、転院した。
 
転院先で:
やはり質問に答えられない意識障害で家族から病歴聴取。
彼女は健康な大学卒業した女性で、南アメリカ出身で友達とニューイングランドを訪れていた。
経口ピルを使用。飲酒は機会飲酒、喫煙・市販薬は使用なし。
家族歴;母が乳癌、それ以外は自己免疫性疾患などなし。
 
身体所見:
BT:36.7、BP;102/57、HR:92、RR:12、SpO2:100%(RA)
傾眠傾向で指示には従わず。痛み刺激には反応あり。
瞳孔は問題なし。皮膚湿潤あり。
心音・呼吸音:問題なし。腹部所見:問題なし、肝臓・脾臓は触れず。
浮腫もなし
 
追加の採血検査は下記。

尿中浸透圧・尿中Na多い。甲状腺機能問題なし
 
CTは頭部問題なし。胸部レントゲン問題なし。
 
かなり27歳の女性ということであまり低ナトリウム血症でくるのが高齢者が多い印象があるため色々と憶測はしてしまいそうになる。
でも、我々の前にも現れる可能性もあるため、しっかり考えるべきである。