2017/03/16

非糖尿病のCKD患者に厳格な血圧コントロールはいいのか?(Intensive BP control for non DM CKD patient)

日々日常診療をしていると勉強になることが多い。
今日は腎炎の治療中の患者に色々と質問され、とても勉強になった。
本当に日常臨床から学ぶことはすごく多いなと感じる。

今日の話題は、JAMA intern medから出たsystematic and Meta-analysisである。
糖尿病によるCKD患者やタンパク尿が1g以上出ている非糖尿病CKDに関しては降圧が有用であるという報告がある。

今回の論文は非糖尿病患者の降圧に関しては不明確なことが多くsystematic review and meta-analysisで示している。

論文はintensive群を(<130/80mmHg)、通常群を(<140/90mmHg)と分けている。
2016/3/24までのpubmed, medline, embase, cochrane libraryから論文抽出を行なっている。

大人の非糖尿病のCKD患者を抽出し、血清Crが2倍以上になった場合、50%以上GFRが低下した場合、末期腎不全になった場合(ESRD)、死亡率を見ている。


この論文では9つのtrialで8127人の患者をEnrollし、平均3.3年のフォローをしている。
・GFRの年間低下率:intensive群と通常群で差はなかった (mean difference, 0.07; 95% CI, −0.16 to 0.29 mL/min/1.73 m2/y)
・Crが2倍かGFRが50%以上低下:intensive群と通常群で差はなかった(RR, 0.99; 95% CI, 0.76-1.29)
・ESRD:intensive群と通常群で差はなかった(RR, 0.96; 95% CI, 0.78-1.18)
・複合的な腎合併症:intensive群と通常群で差はなかった(RR, 0.99; 95% CI, 0.81-1.21)
・死亡率:intensive群と通常群で差はなかった (RR, 0.95; 95% CI, 0.66-1.37)

非黒人や尿タンパクが多い症例では、intensive群の方が腎リスクを低下させることがわかった。

今回の論文では、非糖尿病患者の厳密な血圧コントロールは意味がないと出た。
しかし、我々日本人はどうなのだろうか?非黒人であり、これは今後の研究が必要な分野なのかもしれない。