2017/03/14

塩分摂取について ③(about sodium intake : NUTRICODE trial)

今回はもう一つの論文であるNUTRICODE trialについて(NEJM 2015;371:624-634)

今回のこの3つのtrialに関してはQUICK TAKE VIDEO SUMMARYが付いているので見ていただければと思う。

ちなみに食塩相当量の計算には常に注意することが大事である。
例えば食品にナトリウム量で書かれていれば、食塩相当量に直すことは重要である。
食塩相当量(g)=Na摂取量(g)×2.54
なので、注意する。
しかし、2015年の4月1日から、日本の食品基準に関して法律の変更があり義務表示の「ナトリウム」は「食塩相当量」で表示しましょう!ということが提示されている。
なので、変換することを考えなくてもいいかもしれないが、知っておくと何かに役立つかもしれない。

では、本題であるが、
この研究は
国連や世界保健機関(WHO)、米国疾病管理予防センター(CDC)は、食事のナトリウム摂取量と心血管疾患との関連を強調しているが,ナトリウム摂取が世界的にみた影響や年齢,性別,人種,国,高血圧合併等による違いは明らかにはなっていなかった。
そのため、66カ国の患者において尿中ナトリウム排泄から推定したナトリウム摂取量に関する調査を行い、
・世界的なナトリウム摂取量を定量化

・ナトリウム摂取量の血圧への影響
・血圧の心血管死への影響をメタ解析により評価
・基準値を超えるナトリウム摂取量が心血管死に及ぼす影響を年齢別・性別・国別に推定。

結果:
・ナトリウム摂取量に関して:世界の平均ナトリウム摂取量は3.95g/日(地域平均2.18~5.51g/日)。187ヵ国中181ヵ国でWHO推奨の2.0g/日を超過していた。
・減塩の効果:ナトリウム摂取量2.30g/日減少で収縮期血圧は3.82mmHg低下していた。その減塩の影響は高齢者や黒人や高血圧例で若年者や白人や正常血圧例より大きかった。
血圧の心血管死への影響:血圧の影響度は年齢に伴って低下した。
基準値を超えるナトリウム摂取量が心血管死に及ぼす影響を年齢別・性別・国別に推定。:世界中で毎年165万人の心血管死がナトリウム摂取過剰によるものであり、61.9%は男性で38.1%は女性であった。心血管死の10人に1人にあたり、このうち84.3%は低~中収入国に見られ、40.4%は70歳以下であった。ナトリウム摂取過剰による心血管死の割合はグルジアで最も高くケニアで最も低かった。

結論:この研究の結果では食塩5g(Na摂取 2g)以上の摂取は心血管死に繋がるとしている。

今回、PURE と NUTRICODEを出したが、PUREでは低すぎると心血管リスクが上昇して、塩分摂取量は7.6gが適切と言っていて、NUTRICODEでは5g未満が適切としている。
PUREは追跡調査研究でありlimitationがある可能性はある。

我が国の推奨は6g未満であり、この結果を踏まえても有用な基準であると認識した。

塩分摂取は様々な領域で取りざたされており、今後さらなる研究が進めば面白いと感じた。