4月の投稿の初回です。間が空いてしまいすみませんでした。
今回の投稿は尿中アンモニアの話です(JANS 2017)。
アシドーシスの場合には一般的には腎臓(尿)からH+がNH4+の形で排出される。
尿中アンモニアは尿の緩衝系で働いており、尿中アンモニア排泄の低下は慢性腎不全において代謝性アシドーシスを引き起こす(酸の排泄低下により)。
つまり、尿中アンモニア排泄低下→これがアシドーシス進行や早期の腎不全の予後予測マーカーになるのではということを見た研究になる。
今回の論文は1044人のAASK ( African American Study of Kidney Disease and Hypertension)のデータから取って見ている。
平均のアンモニア排泄量は19.5mEq(6.5-43.2mEq)であった。
排泄量を
①(low group):10.5mEq(4.2-14.8mEq)
②(median group):19.4mEq(15.6-23.5mEq)
③(high group):31.4mEq(24.9-53.1mEq)
に分けた。
結果では、③のグループ(ちゃんと尿中からアンモニアを排泄している群)に比べて、末期腎不全や死亡のリスクが、①のグループのHazard ratioは1.46(1.13-1.87)、②のグループは1.14(0.89-1.46)で上昇していた。
アシドーシスがない慢性腎不全群で見た場合に尿中アンモニア排泄を20mEqをカットオフとして、20以上排泄に比べて、20未満の排泄であれば1年でのアシドーシス発生の頻度が優位に高く、また末期腎不全や死亡のリスクが高かった。
この論文からは高血圧性の慢性腎不全において、アシドーシスがその際に存在していようがいまいが、尿中アンモニア排泄の低下は死亡や末期腎不全のリスクを上昇させると結論づけている。
尿中NH4+は日常的に測定できるものではなく、尿AGが用いられており、それを代用とした研究も進んでいるのが事実である。