2017年4月19日水曜日

アミノ酸トランスポーター

 アミノ酸だけで20種類ありほかにもイミノ酸(プロリン)、GABA、オルニチン、シトルリンとか仲間もいれると数が多い。だからそれらを通すトランスポーターも種類がおおいし分類も複雑だ。分かる範囲、腎臓に関係ある範囲でまとめてみよう(参考にしたのはBiochem J 2011 436 193;Brennerなどにも詳細な解説があるので参照されたい)。

 まず近位尿細管でグルタミン取り込みに関係するB0AT、Y+LAT-4F2hc、LAT-4F2hc、TATを解読してみる。

 B0ATのATはアミノ酸トランスポーターのこと。Bはbroad、つまりいろいろなアミノ酸が通過できる。大文字なのはNa+に依存する、小文字なのはNa+に依存しない。ゼロは、電気的に中性のアミノ酸が通過できる(グルタミンは中性)。

 Y+LATもATは同じ。Y+は生理的なpHで陽性に荷電したアミノ酸(アルギニン、ヒスチジン、リシン)、Lはロイシンに代表される大型中性アミノ酸をそれぞれ通すということ。LATはY+を通過しない。どちらも大文字だからNa+依存。4F2hcは表面抗原の一種で(hcはheavy chain)、これとヘテロマーをつくることでY+LAT1もLAT1も機能できる。

 TATもATは同じ、最初のTは芳香族アミノ酸(フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン)の通過を意味する。大文字だからNa+依存だ。なおB0、Y+のほかに陰性荷電のアミノ酸(アスパラギン酸、グルタミン酸)の通過を意味するX-、側鎖にN原子をもつアミノ酸を通すN、プロトンとアミノ酸の共輸送を意味するPなどがある。

 これらのアミノ酸トランスポータの変異でおこる腎疾患もあるし、近位尿細管の生理はこれからもっと注目されるだろうから、NHE3とかNBCe1とかと同じように少し親和性をもつと役立ちそうだ。下に主な疾患を整理しておく。

ジカルボキシルアミノ酸尿症
・興奮アミノ酸トランスポーター3(X-通過のアミノ酸トランスポーターのひとつ)、遺伝子名はSLC1A1

シスチン尿症
※尿中の結晶は下図(Renal Fellow Networkより)
・B0,+AT-rBAT(中性と陽性荷電のアミノ酸を通すヘテロマーのアミノ酸トランスポーター)、遺伝子名はそれぞれSLC3A1、SLC7A9

Hartnup病
・前述のB0AT1、遺伝子名はSLC6A19

LPI(リジン尿性タンパク不耐症)
・前述のY+LAT1、遺伝子名はSLC7A7

イミノグリシン尿症
・PAT2(H+とともにプロリンやグリシンなど小さな中性アミノ酸を通すトランスポーターのひとつ)、遺伝子名はSLC36A2

シスチン症
・シスチノシン(シスチントランスポーター)、遺伝子名はCTNS