2017/04/27

腎機能障害のある若年男性を見て(MGH caseより) ③ 解答編

前回AKIとネフローゼ症候群を見た際に鑑別としては、、
・微小変化群+ATN
・膜性腎症+両側腎静脈血栓
・アミロイドーシス+円柱腎症
・微小変化群+AIN (2つともNSAIDs使用による)
・Collapsing FSGS


というところをポイントに置いた!

この症例では、微小変化群+ATNやcollapsing FSGSがやはり年齢や頻度からは考慮しなくてはならない。
その際にcollapsing FSGSは何に起因して起こったかを常に考える必要性がる。
原因として
・HIV関連腎炎
・他の感染症関連(パルボウイルス、サイトメガロウイルス、結核、リーシュマニア)
・自己免疫性疾患(SLE、MCTDなど)
・薬剤(パミドロネート、インターフェロン、アナボリックステロイド)
・悪性腫瘍(多発性骨髄腫、急性白血病、血球貪食症候群)
が挙げられる!

ここも、一つ覚えておくポイントである。

HIV関連腎炎では尿細管間質腎炎やタンパク関連物質で円柱形成が起き腎臓の腫大と高輝度様な所見を呈する。
→この所見は患者に見られたのと同様の所見である。

この患者はHIVのスクリーニング検査を行われ陽性になっている。
腎生検も行われCollapsing FSGSの所見であった。

よって症例はHIV関連腎炎でcollapsing FSGSであった。



ちなみにHIVと腎臓に関しては下記の知識を押さえておくといいのではと思う。

・ウイルス特異的な腎損傷は、HIVによる腎上皮細胞の直接感染、ウイルス抗原-抗体複合体から成る免疫複合体の沈着、およびHIV関連の血栓性微小血管症(TMA)によって引き起こされる場合がある。
・糸球体疾患の鑑別診断は、多くのHIV非固有の原因がある: DM腎症、アミロイドーシス、膜性腎症、微小変化型、IgA腎症など
ウイルス特異的な腎損傷は下記に分かれる。
HIV関連腎症(HIVAN):HIVは、糸球体、尿細管、集合管など、ネフロンのいくつかのセグメントの上皮細胞に感染する。
"古典的"徴候は重度蛋白尿(しばしば蛋白>3 g /日)、>2 mg / dLの血清クレアチニン値、および進行性の腎不全。浮腫や高血圧は稀。
超音波所見では、腎は正常ないし腫大しており、エコー輝度は高い。
糸球体の基本病変は、しばしば糸球体の虚脱を伴うFSGS(collapsing variant of FSGS)で、進行すれば糸球体内全域に硬化像が広がる。
上皮細胞の腫大、増生を認め、特に偽半月体pseudocrescents形成も認められ、増殖性変化、滲出性変化には乏しい。ほかに膜性増殖性糸球体腎炎、微小変化型、膜性腎症なども報告されている。間質尿細管変化が強いのも特徴の1つで、尿細管萎縮、間質の線維化、浮腫、リンパ球浸潤に加え、著明な尿細管の変性、再生像が認められる。
尿細管には多数の小嚢胞状拡張microcystic ectasiaが認められ、管腔内には蛋白様物質による円柱形成が認められる。今回の症例でもこれを認めている。

治療は、HAART療法、ACE阻害剤、およびグルココルチコイド。研究でネフローゼ域蛋白尿とHIVAN患者は非HIVAN腎疾患と比較してT細胞CD4数が有意に低かった。HIV-1 RNA量が400コピー/ mL未満でHIVANの可能性が低いのとの研究。
HIV関連免疫複合体病(HIVIC)


HIV関連TMA:血栓性血小板減少性紫斑病と溶血性尿毒症症候群が含まれており、血小板減少、微小血管症性溶血性貧血を特徴とする。腎障害は、一般的にAKIと蛋白尿と血尿。サイトメガロウイルス感染がTMAの病因に関与とも言われている。治療は、血漿交換療法、コルチコステロイド、脾摘、免疫グロブリン点滴、抗血小板剤などが使用。ウイルス抗原のレベルを下げるためHAART療法を開始。
薬剤関連腎疾患
・薬剤性急性間質性腎炎:HIV感染症患者の1つの腎生検の研究では、AINは、HIVAN、高血圧性腎症、およびFSGSに続いて4番目に最もよくみられる所見であった。
頻回に原因となる薬剤は、ペニシリン系、セファロスポリン、サルファ剤含有薬、キノロン、プロトンポンプ阻害薬、およびNSAIDがある。
AIN疑い例の最も一般的な治療法は、被疑薬の中止。
より早期の原因薬剤の中止は、ベースライン腎機能へ回復する。尿細管萎縮、間質性線維症は、早ければ薬物暴露後の2週間以内に発生する可能性がある。
コルチコステロイド(prednisone, 1 mg/kg, for 2 weeks with a taper)は腎不全が原因薬剤の中止後数日から1週間程度以内に改善しない場合に考慮することができる。



今回の症例検討から多くのものが学べるのではないかと思う。
自分も一つずつ考えながら診療を行なっていきたい。