腎臓内科の外来で紹介患者で多いのは何だろうかと考えたときに、やはり検尿異常で紹介となる患者が多い。
そのなかで、今回は無症候性の顕微鏡的血尿にフォーカスを絞ってみた。
今回はJAMAの論文に無症候性血尿を精査する時にコスト的にいいのは何かという論文があった。
健診などで偶然発見された無症候性顕微鏡的血尿が、生命予後に直接影響するか明らかでない。
しかし、イスラエルの報告では16–25 歳(60%が男性)1,203,626 人では0.3%に持続血尿を認め,その22 年間の経過観察では持続血尿例の0.7%,非血尿例の0.045%に末期慢性腎不全の発症を認め,糸球体疾患による腎不全のリスクが約32 倍に上昇していたという報告があり、慢性腎不全の発症リスクの上昇に繋がる事も言われている。
ただ、無症候性血尿で注意をいなくてはいけないことは尿路上皮癌の存在である。
精密検査を受けた無症候性血尿の1.4 - 6.0% に尿路悪性腫瘍が発見されたとの報告がある。
尿路上皮癌罹患年齢は男女とも45 歳ころから増加し始め,60 歳以上で急に増加する。尿路上皮癌の危険因子として,
40 歳以上の男性,喫煙,有害物質への暴露,肉眼的血尿,泌尿器科疾患の既往,排尿刺激症状,尿路感染の既往,フェナセチンなどの鎮痛剤多用,骨盤放射線照射既往,シクロホスファミドの治療歴
がある。
日本のガイドラインでは顕微鏡的血尿があった場合に悪性腫瘍の検索も含めた検査としては、腎膀胱超音波検査+尿細胞診 ± 膀胱鏡となっている。
膀胱鏡検査に関しては、上記の危険因子を有している高リスクには適応になる。
では、前置きが長くはなったが、今回の論文を見てみる。
無症候性血尿に対して悪性腫瘍の検索という点で効果的に費用をかけすぎずに検索する方法は何かを4つの検索方法を比較しているものである。10000人の患者に対して。
① CT検査単独
② 膀胱鏡のみ
③ CT検査と膀胱鏡検査併用
④ 腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査
結果として腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査が最も費用対効果(費用でみてがんの発見が高かった。)がよかったという結果になった。
腎膀胱超音波検査をCT検査に置き換えて再度見ているが、1人追加でがんが見つかったが莫大にコストは増加してしまった。
なので、現状は我々はこの血尿患者さんはリスクが高いのかな??と判断する必要があり、その中で必要な人には腎膀胱超音波検査と膀胱鏡検査の併用が検査ではいいのではと感じた論文であった。