2018/01/29

マイフォーティック (Mycophenolate sodium)~免疫抑制剤~

 移植の外来をしていて、海外で移植をしてその後のフォローをするときにしばしば内服薬で「プログラフ、プレドニン、マイフォーティック」の内服をしているという場面に遭遇する事が多い。




 当初はマイフォーティックと聞いて何かのアニメなのか?と思ってしまった。このマイフォーティックに関してまとめたいと思う。

 マイフォーテックはMycophenolate sodiumの事であり、まず特徴としてはMMFに比べて腸管での吸収を遅くしている特徴がある。

 MMFを内服していて一定頻度で困るのは消化器症状(下痢)である。この消化器症状を少なくすることは患者の内服コンプライアンスを上げる上で重要である。

 マイフォーティックは移植後の下痢の症状などをMMFに比べて優位に減らしたという報告がされている(Transplant Proc 2009)。しかし、現時点ではマイフォーティックとMMFで移植患者の有用性の違いに関しては報告されていない(Transplant Proc 2010)。

 日本で患者さんがMMFで下痢をした場合に、下痢止めを処方したり、それでも症状が治まらなければ、MMFをAZA(イムラン)に変更したりする。しかし、AZAのがGraft survivalは長期で見た場合に悪い事は既知の事実であり、なるべくならMMFを飲ませ続けたい(短期は違いは少ないので短期間だけの変更ならばいいかもしれないが)。




 そういう点でマイフォーテックはいい薬である。日本ではないため、患者さんにMMFに変更することを伝え、またそれにより下痢の出現があるかもしれない事を忘れずに伝える必要性がある。量に関しては180mgのマイフォーティックと250mgのMMFが同効果であるとされている。

 もうすぐ東京オリンピックも近づいている。その時に海外で移植した患者さんが急に来院する可能性もあり、内服薬に関してもしっかりと理解する事は重要である。