2018年1月9日火曜日

尿AGプラス

 AASKコホートで酸摂取量・酸排泄量などと腎・生命予後をみているグループ(以前の論文はこちらにまとめた)から、あたらしい論文がCJASNにでた(doi.org/10.2215/CJN.0377417)。尿アンモニア排泄量と、尿アニオンギャップの相関を調べたもので、「相関しない」という結論だった。以前も書いたように尿アニオンギャップは


[測定されない陰イオン] - [測定されない陽イオン]

 なので、NH4+だけでなく測定されない陰イオンの影響も受けるからだ。測定されない陰イオンのなかでは、硫酸イオン(SO42-)、リン酸イオン(HPO42-、H2PO4-)がおおきい(不揮発酸)。HCO3-は尿pHが6.5以下では尿中には有意な濃度で存在しないのであまり問題にならない。

 硫酸イオン、リン酸イオンを測った「尿AGプラス」を以下のように求めると、尿アンモニアと相関する。


尿AGプラス = ([尿Na] + [尿K]) - ([尿Cl] + [尿硫酸イオン] + [尿リン酸イオン])

 ここまでするなら尿アンモニアを直接測れば?と思われるだろうし、これだけやっても蓄尿容器にクエン酸がはいって尿pHが測れない、など問題がある。エディトリアルも「CKDの実臨床では尿AGプラスの価値はほとんどない」とそっけなく書いている。結局、血液検査と随時尿でわかるHCO3-と尿pH以上に使いやすく情報量の多いマーカーが現れるかはわからない。





 [おまけ]今回の論文で、尿リン酸はモリブデン酸塩(MoO42−)の光度計法、尿硫酸は硫酸バリウム(BaSO4)の沈降法で測定している。尿といえば、尿酸濃度は昔リンタングステン酸(H3PW12O40)の還元を利用して測定していた。元素が好きな方は、Ag、P、Sなどと合わせ周期表(下図)のなかに探してみてはいかが。なお尿アンモニア濃度はグルタミン酸脱水素酵素法で測定している。