これに関しては、いくつかのトライアルが行われ透析患者の高リン血症を下げるなどが示されているが、問題点としては治療期間が短かったり、サンプルサイズが小さかったり、研究デザインが悪かったりなどがあり、疑問視されていた。
それに対して二つの研究がしめされた。
1:Malhotra 達が報告したもので、CKD stage 3~4の患者352人をナイアシン投与群(1500-2000mg/dl)と少量投与群(50mg)に分けた。投与群ではリンが3.4→3.3mg/dl、少量群では3.4→3.6mg/dlとなり、一応統計学的な有意差はあったが、他のFGF、PTH、Ca、VitDなどの改善には寄与しなかった。この報告では、血清リンは軽度低下あるものの顔面紅潮の副作用が多く目立ったというものでnegativeな報告であった。(Clin J Am Soc Nephrol 13: XXX–XXX, 2018、doi: 10.2215/CJN.05440517)
2:Lenglet 達が報告したもので100人の血液透析患者に経口のナイアシンかセベラマーの投与を24週間行なった。結果としては、ナイアシンではリンが6.5→5.6mg/dl、セベラマーでは7.1→5.3mg/dlとなった。リンに関しては低下はしたが、FGF23はセベラマーでは低下したが、ナイアシンでは増加し、Klothoはセベラマーで増加し、ナイアシンでは低下した。また、研究も副作用で途中で終了となっていた。(Nephrol DialTransplant 32: 870–879, 2017)
ナイアシンなどが、高リン血症に効果があるのは下図に示されるように消化管のNaPi2b受容体に阻害的に働き、Pの吸収を抑えるためと考えられている。
CJASN 2017より |
現時点では、ナイアシンなどは有効な結果は出ていない。
現在少量投与のナイアシンがどうかという下記のstudyが走っている。
COMBINE
NOPHOS
これらの結果にもよるが現段階では残念ながらナイアシンの使用を積極的には推奨はされない。
[おまけ]ナイアシンについて触れた2012年の投稿もご参照ください、当時の米国(大学病院)でどんなふうに議論されていたかの参考になるかもしれません。