2018年3月23日金曜日

低ナトリウム血症を考える③

前回CSWSの話をしたが、尿中Naが高い場合にCSWSとSIADHを比較して多いのはSIADHである。

あるケースシリーズで、187人の神経外科領域の低ナトリウム血症の原因を検証した場合であるが、7人がCSWSで123人がSIADHであったという報告がある。
なので、脳外科手術後低ナトリウム血症≠CSWSは非常に重要である。

では、SIADHとはどんな病態であろう?
まず、ADHに関しては身体にとっては浸透圧変化に対しての重要な調整因子であり、また循環血液量の変化に対しても重要な調整因子である。調整因子というのは、変化に対して調整しようと働くホルモンであるということである。
下図は低ナトリウム血症のキーな図である。


まず、低ナトリウム血症は基本的には水の異常(自由水過多=低ナトリウム血症、自由水不足=高ナトリウム血症)である。水の異常は浸透圧の異常と相関する。なので、低ナトリウム血症を見た際には、まずは浸透圧の異常は大丈夫かな?と尿中浸透圧を見る。
ここで、ADHは浸透圧(Osmo)と循環血液量(volume)の両方の調整因子であるので、もし浸透圧系の異常があった場合に、volume系はどうなのだろう?と考えて、尿中Naの変化をみる。このアルゴリズムが今のガイドラインの診断アルゴリズムである。

話は脱線してしまったが、SIADHはADHが浸透圧変化やvolume変化に関係なく不適切に分泌する疾患である。
不適切に分泌する理由としては、疼痛や嘔気に伴うもの、小細胞肺癌に伴うものなど様々な理由がある。


また、ADHの血中濃度測定に関しては、参考程度にはなるが必ずしも必要はないということは認識する必要がある。

SIAHDでは、
・有効浸透圧の低下(275mOsm/kg・H2O)
・血清浸透圧が低い割には尿の浸透圧が高張(Uosm>100mOsm/kg・H2O)
・臨床的に循環血液量で脱水所見(起立性低血圧・頻脈・皮膚の乾燥・口腔内乾燥)や過剰所見(腹水・浮腫)は乏しく、正常である。
・正常の塩分摂取・水分摂取の状況でも尿中Naの上昇がある(UNa>20-30mmol/L)
・甲状腺機能低下症や副腎不全などの似たような病態を取るものが否定されている。
・腎機能は正常、利尿剤の使用(特にサイアザイド)はない。

ことが診断には重要である。
治療は
・基本的に重篤な症状(痙攣や意識障害など)のある場合には、高張食塩水を使用
その際には、体重あたりの量を1時間で投与をすると約1mmol/LのNaの上昇が見込める。
・飲水制限は一番推奨度は高い:尿量よりも500mL程度少ないくらいの飲水制限が一つ推奨されている。
・トルバプタンも一つの治療のオプションである。バプタンに関しては自由水の排泄からの急速なNaの補正がかかり、これが患者のアウトカムをどこまで改善させたかは現時点では定かではなく、これが米国と欧州のSIADHに対するバプタン使用の差にもなっている。
・尿素の投与も一つの選択で、急速な上昇はないが飲むのが不快で非常に苦みがある。
・デメクロサイクリンも一つのオプションであり、腎性尿崩症を生じうる。


今回の教訓としては、CSWSが状況的に(脳外科手術後など)で疑われたとしても、SIADHは非常に多いので注意をするという事である!!


下の図は飲水制限をしている人の絵である。