2018年3月22日木曜日

長期留置カテーテル

 日本のブラッドアクセスはどういう割合なのだろうか?わが国の透析資料は透析学会が毎年発表する『わが国の慢性透析療法の現況』が詳しい。しかしブラッドアクセスの割合は、そのハイライトである「図説」には載っておらず、詳細なデータ一覧にも見つけられなかった。

 別の論文(透析会誌 2011 44 855)では2008 年のデータが載っており、以下のようだった。

内シャント(AVF) 89.7%
人工血管使用の内シャント(AVG) 7.1%
動脈表在化 1.8%
そのほか動脈直接穿刺 0.1% 
長期植え込み型静脈カテーテル 0.5%
一時的静脈カテーテル 0.5%
単針透析 0.2%
その他 0.1%

 2013年にでた透析の国際比較DOPPSの論文(J Vasc Access 2013 14 264)でも、「透析カテーテルの割合は日本で1%」と書いてある。日本は「透析といえば内シャント」として国内外で認知されている感がある。

 しかし、もし2018年版の数字があれば、長期留置カテーテル使用は上記より多いのではないかと思う。カテーテルを入れられる施設は限られているが、入れられる施設では新規導入患者さんの4人に1人くらいが結局長期留置カテーテルになっている印象すらある(これらには出典はありません)。

 フィスチュラ・ファーストといっても長期留置カテーテルが必要な患者さんはいるし、腎臓内科医として入れ方くらいは知っておかねばならない(私は最近まで知らなかった)。そこで、右内頚静脈用を例に概略を簡単に説明する。

 まず右内頚静脈に穿刺してガイドワイヤー(紫線)を挿入するところまでは一緒だ。このとき、透視を用いて先端を下大静脈に落としておくと、その後の操作で抜けたり心室に当たったりすることを防げる。




 そのうえで、カテーテルの血管外(皮下)の部分が収まるいくつかの工夫をする。一つ目は、カーブした部分をいれるため穿刺部のたかさで水平に2cm程度皮切(赤線)して皮下組織をはがす。

 もう一つ目は皮下トンネルで、鎖骨の下に出口部を5mm程度皮切(赤線)して、頚部に皮切した部分の外側にかけて皮下にトンネルをつくる。出口部の場所は、体表にカテーテルを置いて(必要なら透視を使って)決める。




 そのあと、トンネラーをカテの先端につけ、カテごと出口部からカテーテルを頚部に皮切したところまで通す。最近はカテーテルのトンネラー(写真)が鋭利なので、とくに皮下組織が薄く柔らかい場合にはトンネルを一生懸命掘らなくてもよいことが多い。



 ここまでくれば、あとはカテーテルを静脈内に挿入する作業だ。ワイヤーにダイレイターを通し、ダイレイターの先端がSVCにあることを確認したら、外筒(グリーン)を残して内筒(ピンク)をガイドワイヤーとともに抜去する(逆血防止弁がない場合、逆血に注意する)。




 そして、ダイレイターの外筒にカテーテルを挿入し、透視で先端が適切な場所にあることを確認し、閉創。脱血がスムースなことを確認し内腔をヘパリンで充填する、胸部X線で合併症の有無を確認する、などは短期用と一緒だ。

 テクニック的な部分は動画サイトなども参照してほしいし、カテーテルの種類などによるちょっとした違いなどは各施設のやり方やメーカー添付文書などに従ってほしい。「トンネルカテーテルってどうやっていれるの?」という原理だけでも伝わり、光が差せばと思う。