2018/03/15

フィスチュラ・ファースト 2

   米国の透析は1972年に公的医療Medicare、Medicaidでカバーされるようになった(別ブログでも紹介した)。フィスチュラ・ファースト・ブレイクスルー・イニシアティブ(FFBI)は、2003年にそのCMS(Center for Medicare and Medicaid Services)が始めた運動だ。その翌年には18あるESRD Network(すべての透析施設はこのどれかに属している)すべてが採用し、一気に広がった。

 これは内シャントで透析をうける患者さんの割合をふやそうという運動であるが、この割合がたかい透析施設にインセンティブ(ひくい透析施設には逆にディスインセンティブ)が働く仕組みだったこともあり、内シャントの割合は2003年の32%(導入したての方もすっとしている方も含めたすべての透析患者さんのなかでの割合)から2011年には60%台にカイゼンした(実際、66%という目標は欧州やアジア諸国を意識したものだ)。

 目標をたてて一斉に達成するのは米国のすごいところだが、もうひとつすごいのは、やったあとに検証して、修正したり改良したりところだと思う。下図(Semin Dial 2012 25 303)をみてすぐわかるのは、フィスチュラ・ファーストが達成したのは「人工血管グラフト(赤線)をやめて内シャント(茶色)にした」ことが大部分で、カテーテル(灰色線)は余り減っていないことだ。




 そこで、2014年にはカテーテルを減らそうと、FFBIがフィスチュラ・ファースト・カテーテル・ラスト(FFCL)に改められた。内シャントが作れるはずの人をちゃんと同定しよう、導入前にタイミングよく腎臓内科医に紹介してアクセスを確立しよう、などの掛け声のほか、カテーテル患者さんの割合が少ない透析施設にインセンティブがつくようにもなった(Five Star Rating systemという)。

 その後どうなったか?つづく(写真はガスコーニュ地方に古代から伝わる闘牛の一種、Course landaiseの全仏連盟FFCL)。