2018年3月20日火曜日

フィスチュラ・ファースト 3

 フィスチュラ・ファースト・ブレイクスルー・イニシアティブがおこなわれて、カテーテルを減らすことをより意識したフィスチュラ・ファースト・カテーテル・ラスト(FFCL)イニシアティブが始められた一方で、カテーテルに対する内シャントの優位性を検証する試みも行なわれた。

 そのひとつが昨年JASNに発表されたものだ(JASN 2017 28 645)。といってもカテーテルと内シャントで前向きRCTを行なうことは難しいから、この論文もUSRDSデータベースを用いた自然実験になっている。彼らが注目したのは、内シャントを造設されたがカテーテルで透析導入となった患者群(AVF-CVC)だった。

 AVF-CVC群と、内シャント造設なくカテーテルで導入された患者群(CVC)では、カテーテルで透析しているという点は同じだ。しかし、下図のようにAVF-CVC群の生存率(IIの線)はCVC群(IIIの線)よりもよく、最初から内シャントで導入になった患者群(AVF、Iの線)のそれに近かった。




 この論文は、FFCLのメリットを興味深い形で示すことになった。内シャントをつくっただけで身体にいいということは、もちろんない。内シャントを導入前につくった患者さんはそれだけ元気で、よりよいケア(丁寧なフォロー、適切なタイミングでの手術)を受けているということだ。こうした「患者選択」の要素が、FFCLによるベネフィットの2/3以上を説明していると、この論文は言う。

 もちろんこれだけで「So the first shall be the last, and the last first(マタイの福音書20章16節)」とはならないし、FFCLイニシアティブは現在も進行中だ。

 ただ、大事なことは「末期腎不全へのトランジションを適切に行い、その患者ごとに最適な治療モダリティー、最適なブラッドアクセスを提供することで、これを「ペイシャント・ファースト」と言ったりもする(Semin Dial 2012 25 640、ここでは高齢者に最適なブラッドアクセスが内シャントに限らないという文脈で)。

 次回は、日本における長期留置透析カテーテルについて触れようと思う(タイトルは変わります)。