今回は、AJKDのcore curriculum seriesのを紹介したいと思う。
このseriesは、無料で提供されており非常に内容もまとまっている。また、Essential readingという読んでおくべき論文も提示してあり、個人的には大好きなSeriesである。
今回ナトリウム異常症に関しての論文が出ていたので少しかいつまんで。
個人的には、まずはナトリウム異常症に必要な公式から。
下記が主なものになる。
■Plasma osmolality(血漿浸透圧), mOsm/kg H2O:
=(2 × [Na+] (mEq/L)) + BUN (mg/dL)/2.8 + glucose (mg/dL)/18
■Plasma tonicity(血漿張度), mOsm/kg H2O: 下記のどちらでも
=Measured plasma osmolality (mOsm/kg H2O) − BUN (mg/dL)/2.8
=(2 × [Na+] (mEq/L)) + glucose (mg/dL)/18
■Edelman formula, simplified:
[Na+] = (eNa+ + eK+)/TBW(体液量)*
*TBW=0.6×体重
■Urine to serum electrolyte ratio: Ratio>1では、飲水制限でも悪化し、生食投与でも
悪化することを示唆
=(UNa + UK)/[Na+]
■Infusion rate, hypertonic saline solution: 1 mL/kg/h増加させるためには
= [Na+] 1 mEq/L/h
■Infusion rate, D5W, to relower [Na+]:高Na血症のときに低下させるには0.5mEq/hr
( 12mEq/day )で低下させる場合
=2 mL/kg/h
■Free-water deficit:
=TBW (L) × (([Na+]/140 mEq/L) − 1)
*TBW=0.6×体重
■Electrolyte-free water input(EFWI)
=Infusion volume × (1 - (INa + IK)/[Na+K])
■Electrolyte-free water clearance(EFWC):
=Urine Volume × (1 − (UNa + UK)/[Na+K])
■Electrolyte-free water balance(EFWB):
=EFWI ー EFWC
Front med 2018より引用 |
やはり、ナトリウム異常症に重要なADHについて。
ADHの分泌刺激としては、ご存知のように一番は張度の変化である。
下の図の白丸(○)に記載してあるように、高張度になることによってADH分泌が生じる。
次の刺激が血管内循環血液量の減少である。
これは下の、黒丸(●)に記載してあるように血管内循環血液量の減少が刺激になる。
ちなみに、低ナトリウム血症でADHが出ている場合は、低ナトリウム血症自体多くは低張度であり、ADH刺激としては循環血液量減少が関与しているか不適切にADHが分泌している場合(SIADH)であるとわかる。
低ナトリウム血症の際にADHがでているかを判断する材料としては、Uosmになる。
1:Uosmが上昇している場合にはAVPが何らかの関連をしているんではないか?と考えることが重要である。
2:その後に、UNaを測定して循環血液量がどうかを判断する。UNa>30mEq/Lであれば、尿中にいらないNaを出している状態(利尿剤などは使用していないことが前提であるが。)なので、循環血液量減少はないと判断することができる。
なんにせよ、ナトリウム異常症はADHの概念を掴むことが非常に重要になる。