2017年12月26日火曜日

腎臓内科が必要とされるとき~急性血液浄化を考える~下巻

今回、下巻として、まずはどんな透析方法を用いるかについて話したいと思う。


透析方法に関しては大きく分けるとIRRT(intermittent renal replacement therapy)、CRRT(continuous renal replacement therapy)に分かれる。
まず、この両方のmodarityについてであるが、一般的にはCRRTのほうが血圧変動が少ないので血圧が低い場合に用いられることが多い。


注意点:
※CRRTであっても透析を開始してすぐの血圧低下(initial drop)は生じるという事は念頭に置く必要がある。
※血圧変動がある場合でも効率をあげる必要がある病態(重度高カリウム血症、重度尿毒症など)は血圧を維持して、IRRTを選択する必要がある。


まず、CRRTとIRRTに関しては2007年の論文では血行動態が安定しているものに対しての差は出ていなかった。2013年のsystematic reviewでも大きな差はみられなかった。ほとんどのRCTでの論文でもCRRTの有用性を示している論文はなかった。SSCG(surviving sepsis campaign gudeline)でも、重症感染症とAKIの患者に対しての短期死亡率を比較した場合にCRRTとIRRTの差はなかったとしている。
しかし、2017年のGMSの論文ではCRRTのほうが腎回復や経済学的な面でも良かったという事が言われている。


まだ、どちらのmodarityがいいかに関しては、明確な結論は出てはいないが、KDIGO2012のガイドラインではCRRTは血行動態が不安定な患者や、急性脳卒中や他の頭蓋内圧亢進を生じさせる病態があるAKIや脳浮腫があるAKIの患者には適応となる。


自分の施設でもCRRTの稼働に関しては少ないが、それで困った事は少ないと感じている。
ちなみに日本で多く用いられる血流量などを下図に示す。
日本内科雑誌 103巻 5号より

では、CRRTになった場合に治療量をどのように決めればいいのか?は悩む部分であろう。


CRRTで決める必要性があるのは血液流量(Qb)、透析液流量(Qd)、濾液流量(Qf)である。


まず、設定するにあたって浄化量(Qd+Qf)のことが悩ましいのではないだろうか?
CRRTの中で、CHFであればQd=0、CHDであればQf=0、CHDFではQd+Qfとなる。


これらの3つに関しては一般的に小分子量物質のクリアランスはほとんど差がないが、中分子量物質のクリアランスに関してはCHF>CHDF>CHDとなる。そのため、目的物質に対してQfをおおくするのか、Qdを多くするのかは変えるのは一つである(たとえば、サイトカインを除きたいならばQfを多くしたりする。)。


注意点:
※血液濃縮や膜劣化を防ぐためにQfはQbの30%未満に設定する必要がある。
※浄化量の保険上限に関しては15-20L/日までになっている。


まず、浄化量をどのくらいにすればいいのかは悩むかと思う。
これについては歴史を知っておく必要性がある。
2000年にC Roncoらの報告で浄化量を25ml/kg/hr、35ml/kg/hr、45ml/kg/hrで比較した際に25ml/kg/mlに比して有意に35ml/kg/hrや45ml/kg/hrが予後が良かった。
そのため、この時点では高流量の浄化量の方が予後がいいという風潮になっていた。

その後、2つのRCTが2008年と2009年に出された。
一つはATN(Acute Renal Failure Trial Network) studyで、1124人をintensive therapy群(循環動態安定:週6回のHD、循環動態不安定:35ml/kg/hrのCVVHDF、または週6回のSLED)とless-intensive therapy群(循環動態安定:週3回のHD、循環動態不安定:25ml/kg/hrのCVVHDF、または週3回のSLED)を施行し、結論としては60日死亡率に差は認めなかった。



もう一つはRENAL(Randomized Evaluation of Normal Versus Augmented Level Replacement Therapy) studyである。これはオーストラリアとニュージーランドで行われ、1508例のAKIをhigher intensive therapy(浄化量が35ml/kg/hrのCHDF)とlower intensive therapy(浄化量が25ml/kg/hrのCHDF)にわけて、90日死亡率を見ているが有意な差は認めなかった。



なので、それまで主流であった浄化量は大容量ほどいいというのではなく、現在の至適の浄化量はKDIGOのガイドラインでの20〜25ml/kg/hrを推奨量としている。

Crit care 15:207,2011より

つまり、患者が50kgで浄化量を20ml/kg/hrで設定した場合には、浄化量は1000ml/hrとなる。その浄化量を病態に合わせて、QdとQfに分ければいいということになる。

※CRRTでの透析での注意点として透析液に注意する必要がある。透析液にはリンは含まれていなく、またKは2であり、Mgは1に設定されており下がりやすいため注意する必要がある。

腎臓内科は急性血液浄化ではやはり第一線に立って治療をしていく必要がある。少しでも自信を持って第一線で戦って欲しいと思う。