2015/05/03

CKDの集学的治療

 総合診療科スタッフから「保存期CKDの集学的治療についてまとめたよいレビュー論文はありませんか?」と聞かれた。また別のスタッフから「CKD bundle(CKDをみたらこれだけは必ずしようという項目の束)を作りたいので協力してくれませんか?」と相談された。

 質問を受けてまずKDIGOガイドラインに言及したものの、論文となると一瞬はて?となった。しかし記憶をたどると「ああそうだ、この論文(NEJM 2010 362 56)なんかいいんじゃないか」と思い出した。わたしが腎臓内科フェローになる前、まだ内科レジデントだった頃に読んだ論文だ。

 そんなわけでこの論文をサイボウズというコミュニケーションツールで知らせ添付した。ただ私は論文をただ添付して「読んでおいて」と人任せにするのが苦手で、要約を日本語で書いてあげるのを習慣にしている(バイアスは掛かるが、読むのが手間な時もあるだろうから)。この論文のメッセージは2つ、そして隠れたメッセージがひとつある。一つ目のメッセージは「CKDを診たらこれをチェックしましょう」というbundleだ。

 ①原因
 ②体液量・血圧
 ③蛋白尿
 ④電解質・酸塩基平衡
 ⑤CKD-BMD(bone and mineral disorder)
 ⑥貧血・鉄代謝
 ⑦血糖
 ⑧尿酸
 ⑨心血管疾患の予防と治療
 ⑩ESRDへの備え

 フェロー時代、CKDクリニックでは漏らしがないように電子カルテにこれらの項目リストをテンプレートにしておいた(まさにCKD bundleの考え方だ)。

 二つ目は、CKD診療の臨床的意義は進行してESRDに至るのを予防することもさることながら、そこまでたどり着かずに心血管疾患で亡くなる数多くの患者さんたちの命を救うことにあるということ(下図参照)。




 そして隠れた三つ目は、CKD4期になったら腎臓内科医に紹介しましょうということだ。