2015/05/20

FDA warning!

 糖尿病薬市場を席巻する勢いで各社が雨後の竹の子のように開発し宣伝する(ので同じような説明を何度も何度もお弁当を食わされて聞かされる羽目になり辟易している)SGLT2阻害薬だが、残念なお知らせが届いた。FDAが5月15日にcanagliflozin、dapagliflozin、empagliflozinでDKAとケトアシドーシスの報告が相次いでいるという警告を出し、引き続き調査を行っていくからうえの三剤に限らずすべてのSGLT2阻害剤を処方する(内服する)際には慎重に、と発表した。

 その4日後、昨日のお薬屋さんの説明会もSGLT2阻害薬についてだったのに、そんなこと一言も言ってくれなかった。ただ「長期処方が可能になりますので是非ご検討ください」としか言われなかった。私が毎日受け取る米国腎臓内科学会のニュースレターのトップニュースだったから初めて知った…。ここまでくると、お薬屋さんが怖い。売れさえすればいいのか?各担当者ごとにノルマとかがあるから仕方ないのか?患者さんのためには「効く」というよい情報も「危険」という悪い情報も包み隠さず教えてくれるのがフェアプレーじゃないのか?調査中だからまだなんとも分からない、濡れ衣だったということもありえる訳だし。

 [追加]この報告は、SGLT2阻害剤内服によってつくられるグルカゴン過剰状態(先日書いた)と符合するかもしれない。グルカゴン過剰はDKAにcontributory(if not essential)で、この環境下では肝細胞でアシルCoAがcarnitine palmityl transferase reactionsによってどんどんミトコンドリア内に入り、β酸化によりどんどんアセチルCoAができ、これがTCA回路に入りきれずに、アセト酢酸(ケトン体)に代謝される。

 [2016年6月追加]CanagliflozinのCANVASトライアルで投与群には脚、趾の切断が有意に多いという途中経過の安全報告が出たと5月18日にFDAが発表し、調査中だ。またその数週間後にFDAがCanagliflozin、DapagliflozinにAKIの注意喚起をつけた。Empagliflozinはアメリカで処方が少ないのためか報告が少なくラベルはつかなかった。