2015/05/07

尿中CXCL9とCXCL10

 米国腎臓学会誌(JASN、CJASN)はexpress emailが届くので紙媒体が届く前に読むことができる。今日の論文は、CXCL9とCXCL10についてだった。CXCL9とCXCL10は移植拒絶の炎症でIFNγによって誘導されるケモカインだが、その尿中濃度を測定して拒絶との相関を調べる研究だった(doi:10.1681/ASN.2014080797)。それによれば、CXCL9は主にT-cell mediated rejection(とくにIFTA;interstitial fibrosis and tubular atrophy)に相関し、CXCL10は主にantibody-mediated rejection(糸球体とperitubular capillaryの傷害)に相関するという。CXCL10はantibody-mediated rejectionにおいて腎グラフトの予後(death-censored)に相関し、DSA(donor-specific antibody)陽性単独よりもDSA+CXCL10のほうがantibody-mediated rejectionの相関が強まった。これらのバイオマーカーが生検に取って代わるものではないが、プロトコルバイオプシー(何もなくても定期的にやる生検)を減らすのには役立つかもしれない。