NMO(neuromyelitis optica)で陽性の自己抗体がAQP4をターゲットにしているということが分かるにつれ、この抗体が陽性な疾患群をNMO spectrum disorderと呼ぶようになったそうだ(たとえばAsian optic spinal multiple sclerosisなど)。NMOは自己免疫疾患に続発することが多く、典型的には視神経と脊髄の脱髄(ただし広汎に中枢神経系の脱髄を起こすこともある)と浮腫・壊死、好中球・好酸球優位の浸潤、病変部細胞表面のAQP4消失などを特徴とする(Nat Clin Pract Neuro 2008 4 202)。
抗AQP4-IgGは、脳血管バリアを越えてAQP4を攻撃しているらしく、抗体価と病勢が相関することがわかっているが、なぜ中枢神経系の、それも視神経と脊髄にあるAQP4を好んで標的にするのかは分かっていない(腎臓においてもAQP4は集合管の間質側に表出している;Physiol Rev 2002 82 205)。
いずれにせよ抗AQP4-IgGないしそれを産生するB細胞を対象にした治療が行われ(Nat Rev Neuro 2010 6 383)、ステロイドパルス±血漿交換(重症例、不応例に;比較スタディがArch Ophthalmol 2012 130 858;血漿交換追加群で視力がより回復した←以前書いた血漿交換適応疾患リストには載っていないが)。しかし再発する経過を取ることが多く、予防にはAZA+RTX+MMFが慣習的に行われるそうだが、RTX単剤も試されているようだ。