24時間蓄尿検査が外来で出来れば、透析が必要かどうかボーダーラインな腎機能の患者さんに蓄尿ボトル(下図)を渡して24時間クレアチニンクリアランス(または尿素クリアランス)を測ることもできるし、尿路結石の患者さんにボトルを渡して24時間あたりの尿量・尿Na・尿K・尿Ca・尿Mg・尿P・尿シュウ酸・尿クエン酸などを定量して予防の計画を立てることも出来る。
またFanconi症候群など尿細管での再吸収障害(による腎性喪失)を疑った時にも同様に尿Ca・尿P・尿尿酸・尿糖・尿アミノ酸などを定量することができる。患者さんには「朝一番の尿の次から採尿を始めて、翌朝一番の尿まで採ってください」と指導していた。
しかし、24時間蓄尿検査を入院しないと出来ないと言われると、スポット尿で勝負するしかない。その方法は大きくふたつあり、ひとつは尿量を推定して掛け算すること(例えば尿Na濃度が150mEq/lだったら尿量1.5L/dayと仮定して225mEq/day、つまり約13g/dの食塩摂取が示唆される)。だが、尿量の推定なんてできないからアバウトな感じになる。
もうひとつはクレアチニンで割ることだ。これも24時間蓄尿には劣るが、尿Ca/尿Cr>250mg/gで高い、FECa<1%で低い(FHH;familial hypocalciuric hypercalcemiaなどで)、FEリン>5%で高い、FE尿酸>10%で高い、などネットとか色々調べて解釈している。
[2019年1月追記]24時間蓄尿してクレアチニン・クリアランスを求める方法をおさらい(ここにもあるが、順に導出してみる)。クリアランスのU(尿濃度)×V(尿量)/P(血中濃度)でよいのだが、単位をあわせるのが少し手間かもしれない。
1日クレアチニン排泄量(さっきのU×V)は「mg/日」、血中濃度は「mg/dl」で、そのまま割ると「dl/日」になる。ふつうクリアランスは「ml/分」なので、「dl/日」は「100ml/1440分」。
100/1440の0.069(約7%)を掛けるもよし、100/1440は1/14.4だから14.4で割るもよし。たとえば一日クレアチニン排泄量が1000mgで血中クレアチニンが1mg/dlならクリアランスは1000dl/日なので、(掛けても割っても)70ml/min程度になる。
でもまあ、1日あたりのクリアランスを考えるのにも意義はあって、たとえば上記なら1日に100リットルの血液をろ過していることになる。つまり99%がた再吸収しているわけで、すごい仕組みを発達させたものだなと思う(このブログの冒頭にも書いている通りだ)。
なお、Cockroft-Gault、MDRD、CKD-EPIなどについてはこちらも参照されたい。