2015年5月31日日曜日

New drugs

 米国内科学会日本支部総会で『論文30選』を聴いた。この手のセッションは米国の学会ではどこでもやっているんじゃないかと思う、米国腎臓内科学会でもやっているし、米国腎臓財団の学会でもやっていた(これは演者のトークの切れがよく漫談みたいで面白かったことは以前に書いた)。日本のそれは、やっぱり日本の先生方なので真面目な感じで、それはそれで聴き応えがあった。少なくとも寝なかった(私は受動学習すると寝るか質問するかどちらかなのだが、今回は精神的に負担になるから質問するなと主治医に戒められていたので黙っていたのだ)。
 いろいろ新しいことがわかって興味深かった。まずLCZ696(名前はまだない;ARBとneprilysin阻害薬の合剤)とACEIのHFrEFにおける生存率に対する効果を比較したもの(NEJM 2014 371 993)。なぜARBと比較しなかったのか気になる。結局valsaltan 320mg/dとenarapril 20mg/dの比較になっているんじゃないかと思ってしまう。でもneprilysinのことが勉強になった。亜鉛をcofactorにするmetalloproteaseで腎にとくに発現しており、natriuretic peptides, bradykinin, adrenomedullinなどを分解するのでそれを阻害すれば生体の心不全に対するcounteractionが引き出されると推察されるということらしい。
 次はnintedanib(nibと言うくらいだからTRI;tyrosine kinase inhibitorだ)が肺線維症の進行を遅らせるというスタディだった(NEJM 2014 370 2071)。ただ介入群の6割が下痢をするらしいから止痢薬を併用したほうがいいかもしれない。何人がどうドロップアウトしたかの詳細な表が書いてないが、介入群のloss of follow-upは1年間で2割前後だったからそんなに悪くはなさそうだ。
 あとnivolumabの非小細胞癌に対する有効性を調べた論文(J Oncology 2015 33 1)。NivolumabはT-cell活性化には基本のMHC-TCRとco-stimulatory pathwayが必要だが、これを抑制する系であるprogrammed cell death ligand 1(PD-L1)/PD-1シグナリングをブロックするモノクローナル抗体で、黒色細胞腫に用いられるipilimumabの仲間だ(ipilimumabとnivolumabを併用したスタディがNEJMに出た;NEJM 2013 369 122)。これらのモノクローナル抗体は蛋白尿や電解質異常を起こすこともあるので副作用のところは確認したほうがよい(ことは以前に書いた)。
 それからchimeric antigen receptor T cell。PD-1L/PD-1シグナルが入ってもco-stimulatory pathwayが関係なく発現するように受容体の細胞内部分にco-stimulatory pathwayのドメイン(たぶんCD28の細胞内ドメイン?)とTCRのドメイン(CD3 ζ←ゼータと読むらしい)がくっつけてある。これをつかうと予後不良なALLで寛解が得られるらしい(NEJM 2014 371 1507)。ここまでくると何を書いているのか正確なことを書いているのか自分でもわからない。「ふーん」でいい気がする、腎障害を起こさない限りは(笑)。