日本で最も高い薬はeculizumabだと認識していたが、これは夜間発作性ヘモグロビン尿症とatypical HUS(以前に書いた)くらいしか適応がなく使われる頻度は低い。しかし昨日認可されたsofosbuvir(商品名sovaldi)は、一錠6万円で記録を更新?したうえに、疫学的にも頻度のたかいC型肝炎に対する治療薬だ。
私は肝臓内科医ではないのでこの薬がヌクレオチドアナログのprodrugで代謝されてNS5B(HCVのRNA合成に必要な酵素)を阻害することや、HCVのgenotypeに関わらず米国肝臓内科学会・感染症学会のガイドラインで第一選択薬になっていることなどの詳細を把握する必要はない(Wikipediaでもお腹一杯だ)が、注目すべきはこの薬は先進国と発展途上国で価格が大きく違うということだ。
開発したGilead社は、ジェネリック製薬会社が発展途上国91ヶ国でsofosbuvirの後発品製造を許可しており、インドでは1コースの治療(1錠ではなく)300ドルで販売している。だから、これからこういう薬価の二重構造がうまれると、逆医療ツーリズムで、先進国なら何百万円かかる治療を発展途上国に行って安く受ける時代が来るかもしれない。