2017/01/09

HIF(hypoxia-inducible factor)について

最近HIFについてよく耳にすることも多いとおもう。
HIFは日本語では低酸素誘導因子と言われる。言葉の通りで、細胞組織に対する酸素供給が不足した際に誘導されるタンパク質である。

まず、HIFの分類について簡単に書く。
HIFは3種類のHIF-αサブユニット(HIF-1α、HIF-2α、HIF-3α)、HIF-1βサブユニットに別れている。そもそも、HIFはDNAとの結合に関わるタンパク質であり転写因子として機能するものである。

発見の歴史として、HIF-1は,肝がん細胞株Hep3Bにおいて「低酸素依存的にエリスロポエチン(EPO)を誘導する因子」として1992年にSemenza らによって発見された。そして1995年にHIF-1がHIF-1α HIF-1βのヘテロダイマーであることが報告され、同年に各遺伝子がクローニングされた。その後,相次いでHIF-2αHIF-3αが同定された。

HIFが注目されているのは、一つは腎性貧血の分野である。
HIFは細胞組織に酸素が十分にあるときは分解されるが、低酸素の状態の時には核内に移行して、エリスロポエチンの転写を促進する。
腎性貧血の原因としてエリスロポエチンの産生細胞の機能低下ではなく、HIF活性低下が原因であると言われている。
また、HIFに関してはプロルルヒドロキシゲラーゼによって制御されていると言われている。

なので、最近は腎性貧血の治療にここのHIFをターゲットにした治療が行われている。
例えば、AJKD2016の論文のRoxadustat(FG-4592)はプロルルヒドロキシゲラーゼの阻害薬で、これによりHIFの活性化をはかり腎性貧血を改善するものを見た研究になる。

この研究は第2相試験のものであり、詳細に関しては割愛はするがRoxadustatを使用することで、慢性腎不全や維持血液透析を行なっている人のHbの維持に寄与したと報告している。Limitationとしては人数がpart1で54人、Part2で90人と少なく、期間もPart1で6週間、Part2で19週間と短かった。

しかし、今後腎不全患者の貧血の薬としてEPO製剤、鉄剤に続き出てくるであろう。いろいろな方向で患者さんの治療を行うことは重要であると感じる。

次回は貧血の研究で重要な研究であるCHOIRとCREATEについて触れられたらと思う。

HIF-1αの構造