2017/01/28

Withdrawal of immunosuppression after renal transplant failure(腎移植廃絶後の免疫抑制薬の中止)

腎移植を受けた人の腎臓の機能はどれだけ保持されるのであろうか?
ドナーの腎臓に影響する部分が多いと考えるが、平均15年前後である。ただ、現在20年を超える症例も多くなっている現状もある。

では、いよいよ腎移植患者が腎廃絶を迎えて腎代替療法の導入になった場合に困るのが免疫抑制剤はどうするのかということである。

結論は免疫抑制剤はやめるが、なぜやめるのか?
→感染、悪性腫瘍、ステロイド長期投与に伴う副作用が出現するためである。感染は特に死亡に直結する問題であり、軽視はできない。

感染に関しては、透析患者でも感染リスクは上がっているのに免疫抑制剤の継続でさらに上がることが報告されている(Clin Transplant 2001)。


ただ、免疫抑制剤をやめる時の合併症に関しても把握をしておく必要がある。
・拒絶が急激に起こり、移植腎摘出が必要になる可能性
・二次性副腎不全の併発
・残存腎機能の低下
などである。

では減量・中止の方法としてどうしたらいいのだろう?
決まったものはないが、移植施設では決まったプロトコールを取っているところも多い(Semin dial 2005)。
ただ、永久的なカテーテル挿入され透析になっている症例ではカテ感染のリスクも高いため抗生剤の中止を検討する。

一つ参考になるものとしてイギリスのプロトコールがある(Transplantation 2014)

・移植後1年以内に廃絶した場合:早期に移植腎の切除術を行い、免疫抑制剤の中止を行う。
・晩期に移植腎の廃絶や廃絶後6ヶ月以上免疫抑制剤を飲んでいる場合:免疫抑制剤を中止する。方法としては、早期にCNIとMMFを中止する。ステロイドに関しては1ヶ月に1mgずつ減量し副腎不全や拒絶が生じないかをみる。
・腎廃絶をしたが尿は出ている場合:MMFを中止し、CNIを1日1回に減量し、プレドニンを5mg/dayに減量する。そして、CNIとステロイドを3-6ヶ月かけて徐々に減量する。

移植患者で腎不全になった症例では免疫抑制剤の中止を忘れないように管理をしていく必要性がある。