透析患者さんの心臓死に関して、研究会での話を聞き色々と勉強になったので書き留めたいと思う。
臨床の現場でも慢性腎不全や透析患者さんの死因で心臓死の患者は多い印象が強い。
心臓死といっても心不全や心筋梗塞や突然死などがある。
突然死に関してはKのコントロールなどが不良であったり、心筋の障害に伴い心室細動などを起こし突然死するのかな?と思っていた。
JACCの2015報告で、突然死の原因として徐脈性不整脈に伴う突然死が原因であったと報告している(50人をリクルートして、5人の人が亡くなった報告である)。
徐脈性不整脈が原因であれば、今後、慢性腎不全患者や透析患者さんの心疾患に対してのβブロッカー投与はどうなんだろ?と思ってしまう。ここは調べるべきポイントなのかなとも思う。
NDT2015の研究で、台湾の末期腎不全の患者28471人(9700人のPD患者、18771人のHD患者)と113769人の腎疾患を有していない人で、恒久的心臓ペースメーカーの挿入の割合などを見ている。
この研究では、コントロールに比べHD患者でHRで3.26、PD患者でHRで2.36の恒久的ペースメーカー挿入であった。
この研究では、透析患者さんのペースメーカーの挿入の割合が高いことがわかる。
また、反対に徐脈を来したために入れたのか?とも解釈ができる。
では、透析患者全員にペースメーカーを入れればどうなのか?
個人的には、房室伝導系の破綻などが起こっているので、全員に入れた時のベネフィットがそこまで高いのかな?と思ってしまう。
腎臓が悪い人にとって心臓の問題は重要なところである。しっかりと考えながら診療にあたっていきたい。