2017/01/11

Chronic kidney disease and bone fracture(CKDと骨折)

腎臓が悪い人は骨折をしやすいことは耳にしたことがあると思う。透析患者における大腿骨の近位部骨折は様々な報告がされエビデンスが蓄積されている(Osteoporos Int 2014)し、透析患者では骨容量が低下していることもわかっている(Clin nephro 2016)。

ある症例を見てみよう。
慢性腎不全(CKD stage4)で入院中の患者で退院間近であった。
夜にトイレに行こうと思った際にふらついてしまって、転倒してしまい臀部と大腿骨を売ってしまった。色々と精査をしてみると大腿骨頸部の骨折が認められた。

その際に慢性腎不全患者では骨に関してはどうなのか?ということが疑問になり今回書いてみる。

まず、CKDと骨粗しょう症の関連性はある(NDT 2009)。
原因として、一つはCKD-MBD(mineral bone disease)に伴いカルシウムやリンやPTH、VitD欠乏などの変動が生じるためであるが、はっきりとした原因に関してはわかってはいない(Clin Exp Nephrol 2016)。
骨折に関しては骨粗しょう症の他に慢性腎不全の増悪に伴う脆弱性の出現があり、それに伴う転倒リスクが増大するためと考えられている。


面白いなと思ったのが、日本の報告で尿毒素物質自体が骨質の劣化を起こし、骨粗しょう症を起こしているのではないかと言う報告である(Bone 2013)。
尿毒症性骨粗しょう症と言う名もあるようで、これは今後の研究が進んでいく分野であると感じた(KI Suppl 2011)。

やはり骨折は患者のQOLが落ちるので、我々がしっかりと機序を認知して、今回は書かなかったが予防をすることが重要であると感じた。