あけましておめでとうございます。
今年も一年このブログを通して、何か伝えられればなと思っています。
さて、新年第一弾は上記タイトルとした。
僕たち腎臓内科にとっても相談されてどうしようかなと迷うものの一つに肝硬変患者における輸血をどうするかがある。
そこで、今回は2016年の論文を参考にしながら少し記載をして見たいと思う。
まず、ここに記載してあるものとして肝硬変の凝固能に関してである。
僕の認識では、肝硬変患者では凝固しにくく出血しやすいという印象が強かった。しかし、これも最近は認識が変わっているらしく、肝硬変患者は凝固しにくいことはないということである。
肝硬変患者では静脈血栓リスクは上昇する(Am J Gast 2009)。
実験では肝硬変患者で血小板が5万以下の場合のみトロンビンの産生の障害が生じる(Hepatology 2006)。
なのでPT時間だけで、出血傾向は言えない。メタ解析でも予防的なFFP投与の使用が赤血球輸血の使用を減らしたことはないので、PT時間だけを参考にしてPT時間を改善するのは良くないのであろう(Transfusion 2012)。
肝硬変患者に一定頻度で輸血を行うことがあるが、これは消化管出血の患者でHb<7g/dlで輸血をする群の方がアウトカムはよく、再出血が少なかったとされている(NEJM 2013)。
最近のヨーロッパのガイドラインではHbの目標が7-8g/dlとなっている。
予防的な投与はどうかではあるが、小さな研究では予防的なFFPの使用は出血のリスクを低下させたなどの報告はあるが、この群では出血リスクが低い人を対象としており、判断は難しい(Hepatorogy 2016)。
肝硬変患者さんにおける輸液や輸血の分野ではまだまだこれから色々と解明されてくるであろう。
肝硬変患者さんは多く、自分もしっかりとした対応などできるようになりたい。