今回このトピックを取り上げた理由としては、純粋に自分の知識がなくしっかりと理解したかったためである。
そもそも、核医学検査とは微量の放射線を出すRI(放射性同位元素:Radioisotope)を体内に投与し、身体の状態を画像や数値で捉えるインビボ検査と、採取した血液や尿などの試料を試験管内で試薬と反応させ、ホルモンなどの微量物質を測定するインビトロ検査がある。臓器へのRI分布を3次元的に捉え、断層画像として表現するインビボ検査の断層法には、SPECT(Single Photon Emission Tomography)とPET(Positoron Emission Tomography)があります。
SPECT検査では1方向の放射線を放出するRIを用いるのに対し、PET検査は、2方向の放射線を同時に正反対の方向に放出するRIを用いる。
PET検査では検査薬はサイクロトロンという装置で作ったポジトロン核種が必要となるため、SPECT検査(これの検査薬は薬品を作っている会社から供給される)に比べて検査可能な施設は限られている。
解像度はPET検査の方が優れている。
腎臓にとっては核医学検査は腎臓の形態と機能を診断する情報ツールとして有用である(Radiology 2004)。
以前はSPECTのみであったが、現在はPET検査も普及し、またPET−CTなども有効なツールになってきている。
今回は特に核種からのアプローチをする。
1:99mTc-DTPA(99m-labeled diethylenetriaminepentaacetic acid ):GFRを推測するのに一般的に用いられる核種である。GFR推測の理想の物質としては、糸球体からのみ排出され、尿細管などで再吸収されないものである。99mTcはタンパク結合によって変動はする欠点はあるが、そのほかはイヌリンのような動態を満たしているため使用されている。
2:131-labeled ortho-iodohippurate (131I-ortho-iodohippurate):GFR(約20%)、尿細管分泌(約80%)の動態をとる。そのため、PAH(p-aminohippuric)の代替として用いられRPF(renal plasma flow)の測定に用いられる。
3:99mTc-MAG3(99m-labeled mercaptoacetyltriglycine):131Iと似たような動態ではあるが、放射線被曝が少なかったり画像の質が優れている利点がある。主には腎機能を見るのに用いられるものである。しかし、欠点として肝胆道系の排泄が3%程度あり(131Iでは0%)、腎不全では肝胆道系の排泄が多くなる。
4:99mTc-DMSA(99m–labeled dimercaptosuccinic acid):腎の皮質に高濃度に分布し尿にゆっくりと排出される。投与後1時間で約50%が腎の皮質に分布するため、腎実質の同定に有用である。つまり形態の評価に重要である。
5:FDG(Fluorine 18 2-fluoro-2-deoxy- d -glucose):PET検査でもっとも用いられるものである。FDGは尿から排出される。基本的にはブドウ糖と同じ動きをするため、悪性腫瘍でもそうであるが細胞に取り込まれる。
各論に関しては、また次回以降に触れようと思う。
今回は総論だけ書かせていただいたが、少し知識の整理になった。