移植患者にとって免疫抑制剤治療は重要な治療薬であり、色々な場面に遭遇する機会が多い移植患者に対してどのように対応するのがベストなのかを考えるのはとっても重要である。
今回、感染症について触れてみたいと思う。
つまり腎移植で免疫抑制剤を飲んでいる人が感染症にかかった場合である。
これに関しては色々な意見があると考えるが、感染症の重要度は免疫抑制剤の量を考える上で重要である。
腎移植患者での免疫抑制剤に関して詳しくは今回は述べないが、タクロリムス(CNI: calcineurin inhibitor)、セルセプト(MMF: Mycophenolatemofetil)、ステロイド(purednisone)の3種類である。
・生命に危険の及ぶような感染や敗血症の状態がある場合:少量のステロイドを残して全ての薬を中止する(中断に伴う副腎不全のリスク)。
再開はCNIを中止後1週間以内で再開するがMMFは中止しておく。
・中等度の感染の場合(入院や抗生剤の点滴が必要だが、敗血症でない場合):大抵はMMFであるが、1剤中止する。中止期間としては4-6週間で、再開時は半分量から開始する。
何回も感染を繰り返すような場合は、MMFは中止する。
・軽度の感染の場合(気管支炎、軽度の肺炎、蜂窩織炎など):免疫抑制剤の量は変更しない。
感染症はやはりcommonな合併症であり、また生命を脅かす合併症である。
なので、我々は感染症に対する適切な対応の把握は重要である。