今回は最後として、題名通りのAKIについての話題にしたいと思う。
J Nephrolの論文がわかりやすい。
現在先進国では妊娠関連のAKIは少なくなってはきているが、出生前のケアがしっかりしていなかったり、非合法的な中絶が起こっている場所ではAKIの頻度は多くなってきている。
妊娠のAKIは原因に関しては大きく2つのピークに分かれている。
一つは妊娠早期(妊娠20週以内)で妊娠悪阻や中絶手術の感染や細菌やウイルス感染による急性尿細管壊死(ATN)などが原因となる。
もう一つは妊娠後期(妊娠20週以降)でpreeclampsiaやTTP(血栓性血小板減少性紫斑病)やHUS(溶血性尿毒症症候群)やHELLP症候群(妊娠の肝機能上昇、血小板減少、溶血)やAFLP(妊娠の急性脂肪肝)、ATNや急性腎盂腎炎や稀だが尿路閉塞などが原因となる。
ちなみにpreeclampsiaは妊娠高血圧腎症のことであり、妊娠20週以降に初めて高血圧が発症し、かつ蛋白尿を伴うもので、分娩後12週までに正常に復する場合をさす。
経過や身体所見や検査結果などで鑑別を行うが、しばしば難しいのがpreeclampsiaにHELLP症候群やTTPやHUSやAFLPが合併しているか否かである。しかし、大抵は臨床像で診断をつけることが多く、腎生検はほとんどこの場面で診断に用いられることは少ない。
治療は原疾患に応じて行う。
Preeclampsiaを伴うAKIであれば出産が治療になる。出産により多くは腎機能は改善する。アルブミン尿は残存することもある。
TTPや HUSに伴うAKIは血漿交換を要することが多い。
AFLPに伴うAKIはDICの治療と胎児の娩出が治療となる。
これに加えて基本的にはAKIの治療は支持療法となるため、透析の必要があれば検討する必要がある。
今回4回に分けて妊娠と腎障害のお話をした。
私が苦手な分野だったのでとても勉強になったし、このようなことを知っておかねばと痛感した。これからも知識を少しずつ付けていけるよう頑張ろう!!