2017/01/21

Treatment of stenosis and thrombosis in AV graft(AVGの閉塞の治療を考える)

 今回はAVGに関しての話題に触れたいと思う。

 主にはAVFが80%の割合を占め、AVGは10%未満である。

 AVGを選択する時に、静脈が細い患者さんでは自分の血管を用いたシャントの作製が困難になる。その場合、腕の深い位置を走行している太い静脈と動脈を人工血管でバイパスする方法があり、これがAVGである。

 人工血管は今は3種類あり、ePTFE人工血管、ポリウレタン製人工血管、PEP人工血管がある。ePTFE人工血管は作成後、2週間以上経過し周囲の組織と人工血管が十分癒着してから穿刺する必要がある。ポリウレタン製人工血管、PEP人工血管は3層構造になっていて、自然に針孔を止血できる機能を有しているため、周囲組織との癒着を待たず、手術の翌日から穿刺することが可能という特徴がある。

 AVGはAVFに比べて人工のものであり、血栓閉塞を来たしやすい。

 そのため、AVGの閉塞はよく認められる。

 血栓閉塞は術後2週間以内の早期閉塞と晩期閉塞に分けられる。

 早期閉塞は手術の問題が多い。吻合する動静脈の誤りなどがある。

 晩期閉塞に関しては血管の狭窄(主には流出路狭窄が多い)、感染や偽性動脈瘤などが原因となることがある。

 僕らが直面するものとしては、グラフトと血管の吻合部の狭窄から起因するものが多いと考える。ただ、25%以上が突然閉塞(あまり予兆なく)するので、注意が必要である。

 治療に関しては、 

・グラフトと血管の吻合部の狭窄であれば、まずはPTAの治療を優先させる(AJKD 2006)。PTAをしても改善ない病変であれば外科的な治療が選択となる。

・グラフトの血栓閉塞に関しては明確な答えはない。2006年のK/DOQIのガイドラインでも状況見てPTAか手術かは判断しなさいということになっている。

 一つの意見としては、PTAでの血栓の開存率も悪くはないため、まずはPTAを行う。ダメなら外科手術というのが一つの考えとしてある。その中でも、慢性的に血栓がある症例(1ヶ月前からあるなど)は外科の方がいいと考えられている。

 個人的にはグラフト閉塞の際に、PTAはそんなに意味ないのかなと思っていたが、意味はあるとわかった。

実際にグラフトが詰まった際にはいつぐらいから詰まったのか?詰まる兆候があったのかを確認することは、治療の判断で重要であると感じた。