2011/07/23

dirty little secret

 もし腎臓機能がピタリと止まったら、血清クレアチニンの値は一日にどれくらい上がるだろうか。経験的に、1mg/dL上がることが知られている。つまり、前日比でdelta-Cr値が1mg/dL以上のとき、その間に患者さんのGFRはほぼゼロに低下したと考えられる。
 70kgの患者さんが一日に産生するクレアチニンを1.2グラムとして、彼から腎臓を突然取ってしまったとしよう。すると産生されたクレアチニンはvolume of distribution = total body weight、すなわち42Lに等しく行き渡り血清濃度をあげるはずだ。
 しかしその仮定によればクレアチニンの上がり幅は、1200mg/420dL = 約3mg/dLとなり現実の1mg/dLと乖離する。それはなぜか?「ここにdirty little secretがあるのさ」と先生がいう。先生によれば、腎臓機能がゼロに落ちるような状態では(どういうわけか)クレアチニン産生量も減っているのだという。