Furosemideがヘンレ上行脚のNa-K-2Clトランスポーターを阻害することは知られているが、そこで水の再吸収が行われているわけではない。ではなぜ、Furosemideによって水排泄が促進されるのだろうか。このように、現象としては常識なことも生理学的に問われると答えに詰まる。
正解は、furosemideによってネフロンの浸透圧勾配(osmotic gradient)が消失するから。水の再吸収と尿の濃縮は、それぞれヘンレ下行脚と集合管で行われるが、そのためには腎髄質の高浸透圧が必要だ。これを維持しているのがヘンレ上行脚なのである。Na-K-2Clで細胞内に再吸収されたNaは、血管側にあるNa-K ATPaseによって汲みだされ体循環に帰っていく。
この話は回診で一週間前くらいにあったが、なかなか一回聴いて全部覚えられるものではない(先生は一回で覚えなければならないとおっしゃるが)。同僚のフェローが同じ質問をしたら、先生は「この話、前にしたよね…」と言いつつちゃんともう一度教えてくれた。私も忘れていたので復習できてよかった。