2011/07/30

腎血流シンチ

 腹部大動脈瘤の修復術後に急性腎不全が見られるのは仕方がないことだ。というのも術中に大動脈をクランプしなければならない(から腎血流が遮断される)からだ。血流が滞ることにより腎動脈に血栓が出来てしまうこともある。術中の低血圧や造影剤による腎障害など、他にも腎臓に悪い条件が重なるperfect stormだ。
 今月もそんな患者さんを診ていたが、senior fellow(F2、一年先輩)が残存腎機能を推定する手掛かりに、腎血流シンチグラフィをオーダーするという妙案を思いついた。果たして結果は、右腎血流の完全な途絶と、左腎上極の血流障害(腎梗塞)だった。残念ながら患者さんが透析から離脱する可能性は低そうだ。
 この症例を通して、シンチグラフィを思いついた先輩の機転に恐れ入った。コロンブスの卵というか、言われてみればそうだが、思いつくのは中々簡単ではない。このレベルに達するには、腎臓内科医が持つツールを熟知することと、腎臓内科医として「いかにして腎臓を助けられるか」「いかに腎臓が回復するか」という視点を持つことが必要だ。