MDRD-GFR(糸球体ろ過速度)は血清クレアチニン濃度、年齢、性別によって計算されるが、言外に二つの約束事がある。ひとつは患者さんが定常状態にあること、もうひとつは患者さんが年齢相応の筋肉量を持っていることだ。だからこれは入院患者さんではとても当てはまらない計算値だ。実際に、血清クレアチニン、尿クレアチニン、尿量に基づいてクレアチニン・クリアランスを計算してみるとその差に驚かされる。ある患者さんではMDRD-GFRが60ml/minなのにクレアチニン・クリアランスは26ml/minしかなかった。入院期間が長く筋肉が落ちかつ低栄養状態なためそもそも体内にクレアチニンが少ないのだ。