2011/07/30

calciphylaxis

 腎疾患に関連した最も恐るべき皮膚疾患といえばNSF(Nephrogenic Systemic Fibrosis、ガドリニウム造影剤に関連した全身の線維化)だが、その次はcalciphylaxisだろう。どちらもcripplingで、かつ有効な治療法がない。透析患者さんにガドリニウムを避けるようになってからNSFはまず診ることはないが、きょうはcalciphylaxisかもしれないという症例にあった。

 Calciphylaxisとは全身のリン酸カルシウム結晶の沈着で、いうなれば全身が骨になる病気だ。とくに沈着するのは小血管内膜で、それゆえ皮膚や皮下脂肪に網状の皮疹や発赤、潰瘍などができる。透析患者さんに圧倒的に多い現象だが、腎疾患(PTH、血清リン値)がコントロールされていないと起こるというわけでもなく、原因はいまだ不明だ。ワーファリン内服と関係しているともいわれる。

 治療もまた決定的なものはなく、皮膚科、外科、腎臓内科などが一緒になって局所治療やCa、P、PTHをコントロールする。Sodium thiosulfateは、理論上不溶性のカルシウムを水溶性のCalcium thiosulfateに変えることで結晶沈着を抑えるはずだが、痛みなど症状を緩和したというわずかな報告があるだけでその有効性は未知数だ。