2015年6月6日土曜日

AKI >>> MI

 AKIのセッションに参加してきた。最初のお話で衝撃的だったのはAKIの予後が心筋梗塞よりずっと悪いということだ(CJASN 2014 9 448、下図は生存率;一番上のラインが心筋梗塞群、下の二本はAKI群とAKI+心筋梗塞群)。たしかに心筋梗塞はインターベンションが発達しているし早期診断・早期治療が可能なのでだいぶん助けられるようになった。それに対してAKIはMOFの一部として起こる上、介入があまりない(腎代替療法も代替するだけで原因を除く治療ではない)からこういうことになるのだろう。しかしまだ「AKIと心筋梗塞だったら心筋梗塞のほうが大病でしょ」と思っている人が大半と思われるので、これは私にとってはwake-up callだった。


 つぎに驚いたのはAKIの歴史だ。100年前、第一次大戦中に出血やcrush症候群による急性腎傷害(当時クレアチニンが測れたか知らない;おそらく乏尿と溢水と尿毒症で診断していたのだろうか)が続出したことからAKIはwar nephritisと名づけられ、第二自世界大戦でドイツ軍による英国の空爆が始まるとCRUSH syndromeと名づけられた。そして1951年に腎臓生理学の父Dr. Homer Smithがacute renal failureという言葉をcoinした。
 以後50年以上たって、AKIはICU領域や循環器内科領域で多臓器不全、mortalityのリスク因子として捉え直されはじめたが、当時30を越える定義があったためそれを統一しようと2004年にRIFLE分類がうまれ、2007年にAKIN分類(余談だがわたしが2008年に米国で内科レジデンシーを始めたので、当時ICUローテーションのときにacute renal failureと言って指導医に「いまはAKIだ」と訂正されたのを良く覚えている)、そして2012年にKDIGO分類がうまれたそうだ。
 それからイタリアのDr. Claudio Ronco、オーストラリアのDr. Rinaldo Bellomo、ピッツバーグのDr. John Kellumが書いたCritical Care Nephrologyという教科書があると知った。第二版が2008年に出ているが、Amazon.co.jpで5万円もする…。なぜ?2012年にでたDr. RoncoとDr. Bellomoが書いた同じタイトルの教科書はペーパーバックで1万2000円だ。ぱらぱら中を見られればいいのだが…。この領域の人はどちらの教科書を使っているのか尋ねてみたい。新しくて安いならそのほうがいいような気もするけど。