2015年6月18日木曜日

CKDとMg

 Mgが低く(2.1mg/dl以下)高リン血症のCKD群と、Mgが高く(2.1mg/dl以上)高リン血症のCKD群では、Mgが高い群のほうが末期腎不全になりにくいというコホートスタディがでた(doi:10.1038/ki.2015.165)。これだけでは相関しかいえないし、「高リン低MgのCKD患者さん」と「高リン高MgのCKD患者さん」というのは臨床的にどんな人達なのか想像がつかない。高Mgの人たちは、Mg摂取量が多いということだろうか。だとすればMgが多い食品というのはナッツ、藻類、豆類などだそうだからこれらを多く摂る人は野菜も多く摂っておりアシドーシスが抑えられているのかもしれない。

 ただ、Mgが血管の石灰化や炎症を抑制するということはin vitroでよく示されているようで(たとえばNDT 2012 27 514)、上記の論文でもMgがサイトカイン産生を抑制したなどの結果があった。Mg2+はCa2+と拮抗して平滑筋収縮を抑制したり尿路結石の形成を予防したりするから、同様に血液中のCa9(PO4)6粒子やcalciprotein particleの形成(これらについては以前に書いた)を抑制しているのかもしれない。将来的にMg投与によって心血管系イベントや末期腎不全への進展が抑えられるかというスタディが組まれて、もしそうだと分かれば明るい話題になるだろう(もちろん高Mg血症に注意しなければならないが)。

 [2016年7月追加]まだ大きなスタディはないが、Mg補充と降圧をみた小さなスタディはヨーロッパを中心にいくつもあって、それらをメタアナリシス論文がでた(DOI: 10.1161/HYPERTENSIONAHA.116.07664)。それによれば、300mg/d以上(Mgの分子量は24.3なので酸化マグネシウムで約500mg以上)の摂取で収縮期血圧2mmHg、拡張期血圧1mmHg(CIで有意)さがっていた。高血圧患者も血圧正常被験者もあわせているし、おそらく腎機能正常例を対象にしているので上記テーマとは必ずしも直結しないが、きちんとしたスタディはしてもいいのかなと思う。なおMg濃度は0.05mmol/l(0.1mg/dl)程度あがった。