2015/06/15

Bundles

 いまいる職場はバンドル作りやチェックリスト作りが好きだ。レクチャをしても、最後にチェックリストを提示して締めくくることが慣習になっている。これは実践的でとても良いことだと思うし、私も少しずつ貢献できればと思う。先月CKDの簡単なチェックリストを作ったら(フェロー時代にみんなが使っていたものだが)研修医の先生達が援用してくれているようで、役に立ったなら嬉しい;

①原因
②体液量・血圧
③蛋白尿
④電解質・酸塩基平衡
⑤CKD-MBD(mineral and bone disorder)
⑥貧血・鉄代謝
⑦血糖
⑧尿酸
⑨心血管疾患の予防と治療
⑩ESRDへの備え

 それで、次は維持透析患者さんを診た時に考えることというのも作ってみようと思い立った(研修医の先生方にとって透析患者さんがなかなか取っ付きにくいみたいなので)。この分野には良書、成書がたくさんあるから「本を読んでおいて」と言い放ってもよいのだが、バンドル・チェックリストというのは「もっと短時間で読めて使えるものをくれ!」というニーズに応えるものなので、簡潔でなければならない。たとえば;

①末期腎不全の原因疾患
②ヴィンテージ(何年血液透析を受けているか)
③透析施設
④透析曜日
⑤ブラッドアクセス(シャント、グラフト、カテーテル)
⑥ドライウェイト
⑦最終透析日と透析後の体重
⑧IDWG(inter-dialytic weight gain;透析と透析の間でどれだけ体重が増えるか)
⑨自尿の有無
⑩透析の問題点(透析中の低血圧、高K血症、重なる溢水エピソード、たびたび透析に来ないなど)

 他にも、透析時間、透析モード(HD、HF、HDFなど)、血液流量、透析液流量、抗凝固薬の種類、透析膜、透析液・置換液組成、ESAの用量、鉄の用量、移植の適応について考慮されたか、など挙げ始めれば切がないが、「とりあえず透析患者さんが入院してきたらこれだけは聞いて欲しいこと(そして患者さんもこれ位なら簡単に答えてくれそうなこと)」という、初歩者にも使いやすいものにするには、取捨選択しなければならない。


[2018年11月追加]日本腎臓学会が2016年に提言した、こんな表もある(生活習慣病からの新規透析導入患者の減少に向けた提言~CKD(慢性腎臓病)の発症予防・早期発見・重症化予防~)。分厚いガイドラインとは別に、こうした使い勝手がよく漏らしの少ないリストを、自分なりに作るのもありかもしれない。