2017年5月16日火曜日

速報 ANCA血管炎とアバコパン

 ACPのメンバーシップは日本内科学会より高い、とくに海外会員だと高い。それでも、その価値があるとおもうから払う。ACP JournalWiseという最新論文お知らせ機能からメールがとどき、JASNにANCA血管炎とアバコパンの論文がでたことをしらせてくれた(doi: 10.1681/ASN.2016111179)。

 インパクトあるので、速報する(火星だよりは後日お送りします)。アバコパン(Avacopan)は経口のおくすりで、C5a受容体の選択的な阻害薬だ。モノクローナル抗体ではない、小分子だ(図)。



 MPO-ANCA血管炎をおさえることが動物実験でわかっていた。今回の対象はMPOとPR3がだいたい半々、平均年齢50歳、BVASスコア13-14(63が最重症)、平均eGFRは40-50ml/min/1.73m2。薬を作ったのはカリフォルニアのバイオベンチャーChemoCentryx社だが、患者さんはヨーロッパだ。規制がゆるかったのだろうか。

 導入療法にサイクロフォスファマイドないしリツキシマブをもちい、それにくわえて①ステロイド60mg/d、②アバコパン30mg2T2x+ステロイド20mg/d、③アバコパン30mg2T2xのみ、の3群にわけた。どうやらステロイドパルスはしなかったようだ。12週フォローした結果、BVASスコアはこうなった。ステロイド単独より併用がよく、併用とアバコパン単独はあまりかわらない。


 肝腎のeGFRには差がなかった。比較的eGFRが高い群で、フォロー週数も短いからなんともいえない。蛋白尿の低下は併用群でステロイド単独より有意にさがった(アバコパン単独もさがったが有意ではなかった)。

 いっぽう副作用はどうか。どの群も有害事象の割合はおなじだが、アバコパン単独で多かった副作用には高血圧(ステロイド群より割合が多い)、血管炎(定義は?)、リンパ球減少があった。同じくC5を押さえるエクリズマブは髄膜炎菌予防などが必須だが、この薬はどうなのだろう。

 ステロイドを置き換える薬となると、ANCA血管炎だけでなく幅広く使えるかもしれない。まだ選ばれた軽症の患者層で短期間つかっただけなので、これからの研究に期待したい。